はじめに

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2013年11月6日水曜日


東京オリンピック

 

リニアーは無理でもオリンピックまでなんとかと

昨日も今日も薬飲み

 

えー、お笑いを申し上げます。異常気象とやらで、酷く暑い夏でした。10月に入っても真夏日のところもあったとか。台風の方も続けざまに来て、世の中大変でございます。その中で、この度はオリンピックが東京に決まったそうで。

八「こんちは。・・御隠居、相変わらずのご様子で」

隠「おぉ、八つあんか、マアお上がり」

八「この度はオリンピックが東京にってんで、お目出度い限りで」

隠「まぁな・・」

八「おや?まぁなですかい」

隠「いやいや、結構なことです」

八「どうもお世辞で結構と言っていますね?」

隠「そう聞こえるのは、真に遺憾でございますナ」

八「まあ、いいや。ところで、つかぬことを伺いますが、御隠居の歳なら前の東京オリンピックを観たんじゃあありませんか?」

隠「実のところ、観ていない」

八「そんなに若ぶってみたって、そうはいかねぇ」

隠「そんなことは言ってないヨ」

八「でも、テレビかなんかでは観たでしょう」

隠「覚えが無いんだよ。テレビが家にあったかどうかも覚えが無い」

八「じゃあ、今度のオリンピックが初めての経験になるということですね」

隠「おホン」

八「お、なんか一言ありそうな塩梅ですね」

隠「ウン。東京オリンピックの記憶は無いが、それよりより古い記憶がある」

八「おや?いったい何でス」

隠「ヘルシンキ。ヘルシンキだよ」

八「ヘルシンキ?」

隠「ヘルシンキオリンピックをラジオで聴いた」

八「ラジオで?」

隠「ウン。日本の皆さん、・・こちらはヘルシンキです・・」

八「何です、その大きくなったり小さくなったりの息継ぎみたいなのは?」

隠「この言葉の間に、ザーザザーザザザザーザザーザザー」

八「波音みたいですね」

隠「そう、いい勘だ。わしも当時、波の音だと思っていた」

八「・・・・・・」

隠「ヘルシンキからの中継放送だよ。ラジオだよ。今みたいに衛星中継じゃあない。なんでも短波とかを使って、ヘルシンキから送ってきたらしい」

八「海外中継の走りですか」

隠「そうかもしれん。海外中継だから波の音が聞こえると思っていた」

八「明治時代のことですか」

隠「馬鹿なことをお言いでない。戦後しばらくしてのことだ。フジヤマのトビウオが疲れはてた時分のことだヨ」

八「へーぇ?なんのことだか。ところでご隠居、オリンピックを持ってくるてぇのは、酷く厄介なようですネ」

隠「そこさ、IOC様にヘイコラ、ヘイコラってぇやつだ」

八「この度は日本のプレゼントが良かったてぇじゃあないですか。何をプレゼントしたんですか」

隠「ウン?プレゼント?・・あぁ何かプレゼントをしたかもしれないが、表立ってはいけないことになっている」

八「表立ってはいけねえんで?堂々としていて、それが良かったってんじゃぁ?」

隠「それを言うなら、プレゼントじゃあなくてプレゼンテーションだナ」

八「どう違うんで?」

隠「わしもよく判らんが、袖の下と袖を引く位の差はあるようだ」

八「袖の下? 余計に判らねぇ」

隠「まあぁいい。東京の素晴らしさを紹介したんだナ」

八「素晴らしいご紹介ってやつをクリトリ・さんがやってましたネ」

隠「クリトリ・さん?」

八「そう。クリトリ・さんをプレゼントした」

隠「ウン?あぁ、お前さんが言いたいのは、あの別嬪さんのことだナ」

八「さいで。クリトリ・・・・」

隠「少し名前が違うように思うが、そりゃあ、わしだって、あの別嬪さんがおもてなしをしてくれりゃあ、一票お入れしたくなる」

八「え、クリトリ・のおもてなしをプレゼントですか。いいなぁ。スケベー」

隠「ハハハ・・へへ・・」

八「でも、あの別嬪さんは外人さんでしょ。だから英語でしゃべってた」

隠「よく知らんが、日本人だよ。それと話していたのはフランス語だそうだ」

八「フランス語? ホー、聞いてた人は皆、フランス語が判るんだ」

隠「知らん。ただ、総理大臣や都知事は英語でしゃべっていたナ」

八「皆さん英語で?ご隠居は英語が判るんだ?」

隠「わしが判るような下手な英語じゃあなかった。皆さん流暢なもんだ」

八「じゃあIOCの委員様は皆ご隠居より英語とフランス語が判るんだ?」

隠「そりゃあ間違いない」

八「凄いなあ。これぞエリートの世界ってぇやつで」

隠「そう。世界のエリートだ。総理大臣ですら、へりくだって日本語でなく、英語でご説明申し上げていた」

八「一体、全体どういう方々で?なんか選挙で選ばれるんで?」

隠「知らん。判らん」

八「どうやって選ばれるのかわからない?どこかの国がそうだって言ってましたね」

隠「ん?あぁ、お隣、お隣。大きい国と小さい国のエライ人達はIOC委員並みってえことだナ」

八「判らないから余計に偉く見えるんだ」

隠「まぁな。なんでも貴族の方が結構いて、それもヨーロッパの方々が多いそうだ。まぁ、その方たちの金儲けの一つって感じもする」

八「エライ方々がおやりになるから、万事うまくいくんですね?」

隠「金儲けの方はとにかくとして、今度のソチやリオでは準備が間に合わないってぇ噂もある」

八「そう言やあ、プーチンさんがプチンと切れた。間に合わなかったらシベリアがあるゾ、みたいな顔をしてテレビで睨んでいました」

隠「そう、ソウ」

八「デモ、東京はまだ時間があるし、金もあるそうだから大丈夫ですよネ」

隠「国立競技場にかかる金が高すぎるってんで、手を加えるらしい」

八「金のことなら一番得意じゃあないですか」

隠「そうだと好いがナ。東南海沖地震でだめになるとか、アベノミクスの失敗でグチャグチャになるってエ噂もある」

八「はハー。ご隠居。オリンピックはうまくいかないと思っているんですね」

隠「そんなことはない。きちんと成功するにきまっている」

八「本当ですか」

隠「本当だとも。オリンピックには成果がつきものだ」

八「・・・・・?」

隠「セイカだよ。聖火!」

八「ヤロー!!それが言いたくてここまで引っ張ったな!」

隠「いやいや。そうあってほしいと思って言ったんだ」

八「へそ曲がりなくせに、しおらしい」

隠「なんとか、オリンピックまでは頑張るよ」

八「オリンピックまで? 憎まれっ子世にはばかる・・と言うじゃありませんか。オリンピックまでと言わずにリニアーまで生きますよ」

隠「そりゃあ無理だ」

八「どうして?」

隠「オリンピックで終わりだ。五輪終だ。ゴリンジュウだ」

お後がよろしいようで。テケテンテンテン・・・・。

 

では先月から先送りした小噺をひとつ。

 

天国

行状の悪かった男が身罷った。

身罷って、しばらくして男は目を覚ました。見渡すと、男は自分がお花畑の中にいることに気がついた。空には小鳥が飛び交い、木々には果物がたわわに実っていた。うっすらと芳香が漂い、幸せな時が流れていた。

男「ここはどこだろうか。世に言うところの天国のように思えるが、はてな?」少し離れたところを背中に小さな羽根を付けた子供が飛んでいた。

男「間違いない。あれは天使だ。俺は天国へ来たのだ。悪いことばかりをして、ロクでもない生活をしてきた俺が天国へ来られたんだ!」

あらためて、自分を見てみると、一糸まとわぬ素っ裸だ。

男「そういえば天国では裸で生活していると聞いていた。何て素晴らしい」

喜んでいるところへ天使が近づいてきた。

男「もしかしたら、ここは天国で、あなたは天使ですか?」

天「ハイ、ここは天国で、私は天使です」

男「はじめまして、よろしくお願いいたします」

天「ハイ、よろしく」

男「ところで、なんか痒いナと思ったら、ここには蚊がいて、喰われて痒くてならないのですが。天国なのに蚊がこんなにいるのですか?」

天「ハイ、いますよ」

男「素っ裸なもので、かなり食われているのですが、なんとかなりませんか」

天「自分の立場を考えてください。ここは蚊の天国なのです」

(2013.11)