はじめに

●●●

2020年10月6日火曜日

素人鰻

 

素人鰻

ウィルスは何時になってもヌラリのクラリ

何処へ行くかは鰻にお聞き 

 

ちっぽけで無力な人間は所詮本来のコロナの輪から抜け出すことは出来ないのは当然です。

今は小さなパクリ名のコロナに取り囲まれています。感染していなくても、中毒に罹ったかのような気分です。もがいても、もがいても、抜け出すことが出来ません。依存症とでもいったところです。今月も冷凍保存情報での食いつなぎです。小さい方のコロナです。

コロナにかかるまいと知恵を振り絞って、対抗、抵抗しようと試みています。好い加減な手段、言動も満ち溢れています。玄人、素人の情報合戦もあります。

 玄人の鰻料理人が酔っ払っていて蒲焼きが出来ず、素人が手出しをして、大騒ぎになる素人鰻という落語を思いだしました。

コロナに関わる専門家の中には、素人は余計な口を挟むなとお怒りの方もお見えのようです。

とはいえ、玄人の、専門家の先生の言い草にも大いに判らぬことがあります。玄人が言っていることで、酔っ払っているとは申しませんが、大丈夫かと思われるようなことが結構あるのです。

コロナは判らないことが多いとされ、テレビのワイドショーなどに出演している先生の中にはにわか勉強、一夜漬けで出てきて、ご高説を唱えた方も居るとか。隙を突いて、ド素人の私も一口挟ませて貰おうと思います。はたして、鰻を巧く捌けますか。

専門家のご高説で一番気になったのはマスク無能説です。

ウィルスはマスクの目より小さいから、全く防御の役に立たないというものでした。今では、フランス辺りでは、マスクをしていないとトッ捕まえたり、罰金を取ったりするようです。イヤダデモをやって感染したりしているとか。取り敢えず、無能説は否定されたようです。この説を唱えた先生の表情がうっすらと蘇ります。マスクの目はウィルスよりでかい。そんな物は楽々通り過ぎてしまう。しかし、素人の私でも異論がありました。小さいといっても空気よりでかいでしょう。ウィルスは単身ではなく痰唾の飛沫に居候しているようです。すごい厚着でマスクの目を通り抜けようとします。鼻や口から入るときは、ナンボかは単独行動のウィルスもいるかもしれません。出て行くときは唾浸しです。クシャミの瞬間、唾液とウィルスが分離するはずがありません。起源国からの発想では、多くのウィルスが逮捕拘禁の目にあうこととなります。無能説に納得がいきません。私は自身の高説の下、マスクの着装を心掛けていました。・・ウソです。花粉症対策です。花粉症のためにマスクを備蓄していました。警戒警報以前から準備していたことになります。何事も危機管理、安全対策の準備、心がけは大切です!

うがい意味なし説というのもありました。

ウィルスは口内に入ると5分以内に体内に侵入する。従って、外出から帰ってうがいをしても間に合わない。PCR検査というのをもっとやれの何のと、姦しいが、サンプルは鼻腔に綿棒を突っ込んで採取しています。口から唾液をとる方法もあるとか言われています。いずれにしろ、あの辺りに彷徨いているヤツを捕まえて、お取り調べに供しています。あそこに居るウィルスはどういうヤツなのか。何故吸収されないのか。血液で余剰となったのが逆流しているのか。余剰となるほど血中濃度が高くなっていても発症したり、自覚症状もない人が多く居ます。何事にも鈍い人は居るものです。

外から来たヤツは直ちに吸収される。うがいには意味がない。うがいに意味がないどころか、素早く飲み込んでしまえば、胃液でウィルスをやっつけられるというのもありました。アルコールが効くのだから、ウオッカを飲めば効果があると東欧の大統領がおっしゃったとか。エリツィンさんの親戚なんでしょう。うがいならウオッカでやれば、水より一層効果がありそうです。もったいない気もしますから、私は水だけにしておきます。

うがいに関しては意味なし説ではなく、治療効果説もありました。イソジンでうがいをすると治りが早いとか、発症しないとかいうことだったと思います。

大阪の知事さんが仰ったことです。本人は素人の筈です。治療効果があるなどと言うのは医師法に触れそうです。後ろに専門家がいて言わされたのでしょう。それとも、これはいい話だ。記者会見で喋れば、府民、市民、もしかして国民の好感度が上がるかもしれないなど、助平根性から言ったのかもしれません。どちらにしろ、元は玄人の見解でしょう。それにもかかわらず、ウオッカと同じ程度の信憑性しか感じられません。イソジンでなく水でもうがいで口中のウィルスは減ることは私でも考えついてしまいます。何時までも口の中に残って彷徨いている落ちこぼれウィルスを退治して、勝った、勝った、はないでしょう。後ろにいる専門家も困りますが、知事さん!大丈夫ですか。

コロナで自宅勤務している職員が、出張手当を貰っているがおかしくないかと自ら申し出ました。おかしくない。しかし見直しをする。我が愛知県の知事さんの見解です。おかしくない、間違っていない事を何で見直すのか。職員は全うです。対する知事様が全うだとは思えません。

他所の知事さんを批判するのはイケマセン。お詫びの印に自分のところの知事をクサシテおきます。

マスク、うがいに対する否定的な意見に反して、手洗いは超推奨品です。

手を洗うに際して、日常的な程度を遙かに超えるやり方がおすすめです。

♫小指と小指からませて・・♫ だけでは足りず全ての指を絡ませて指の間を擦り合わせる。爪の間をブラシなどで洗う。更に腕を忘れずに丁寧に。手の次は顔を洗う。

♫・手と手と足と足と手と足とおへそとおへそを擦り合わせ・・・・♫ 品のない連想です。謝罪削除としたい気持ちです。

石鹸屋の回し者かと思える程に丁寧なご指導です。手は無意識にそこらを触るので、結果として口内、鼻内をさわり体内にウィルスが入ってしまうと言うことです。

手洗いを徹底的にやること自体の効果をどうのこうのではありません。マスク、うがいの評価との比較で、手洗いの肩を持ちすぎという感じがします。手関連では握手はいけないがグータッチは良いというのがあります。指、掌は口に入れるが甲は大丈夫ですか。目を擦るとき甲でやっていることが多いような気がします。顔を洗うなら頭も洗わなくてはいけないのでは。顔や面を洗うより、目玉を洗わないといけません。加えて、着ている物は帰宅したらすぐ脱いで、洗濯しないと拙いのでは。そしてシャワーに入って全身を石鹸まみれにしてウィルスを洗い落とすべきでしょう。温かい今は大丈夫ですが、冬になったら風邪を引いて、発熱、肺炎・・・てな事になりかねません。コロナガ怒ります。洗いすぎると全身がカサカサになって皮膚病になるかもしれません。

鰻はヌルヌルで身を守っています。

専門家の宣旨の中には、日本ではコロナは11月をもって終熄するというのがあります。好いネ!をクリックしたくなります。さぁー、どうなることやら。コロナは何処へ行くのやら。鰻に聴いてくれ・・です。

 

では小噺を一つ。

 

ジャイアン

 

習主席を讃える行事の一つとして似顔絵大会が催された。全国各地から多数の作品が出品され、審査の結果、少年の作品が大賞に選ばれた。

司会「大賞受賞、おめでとうございます」

少年「有り難うございます」

司会「主席の特徴を上手に捉えて、姿だけでなく心の中まで見事に表現されているという、審査員の先生方の評価です。どのようにして絵を学んだのですか」

少年「はい。漫画、ドラえもんが大好きで、ドラえもんは勿論、のびた、ジャイアン、しずかちゃんを何回となく書いています」

司会「・・そうするとこの作品は若しかして・・ジャイアン・・で?」

少年「え、はい・・。いいえ、・・断じて主席です」

202010

2020年9月6日日曜日

日和見

 

日和見

あれこれ日和って迷ってみても所詮管見雨陽も知らず

 

中国共産党の支配、統治力は驚くべきものです。

コロナは武漢で始まり、世界を席巻しています。

コロナなんぞ、どうって事はないと言っていた人が、私が知る限りでは世界に3人居ました。WHOのテドロス事務局長、USAトランプ大統領、伯ボルソナウ大統領です。火元の中国習主席は何も語らなかったように思います。

テドロスさんは人から人へは感染しない、中国からの人の流れを止める必要はない、と極めて基本的なことを世界に向かって言い放ちました。

コロナ関連の専門家も含めての流言飛語に多くの人が惑わされました。中には消毒剤などを飲んだりして、死んでしまった人も結構居るようです。それでも何万という数には至っていません。

テドロスさんのお言葉を世界中の国が一時信じました。火元は別にして、この人がコロナを世界に広めた立役者です。百万人に至らんかというほどの人が亡くなっている元凶です。

トランプさんとボルソナウさんは、コロナは普通の風邪みたいなものだ、心配無用と自国民に言いました。この二人の国が、感染者、死者ともに今や世界の一位と二位を分け合っています。

何も言わなかった習さんの中国は感染者数世界十傑に入っていません。男は黙って、を地で行っています。どうですか!武漢では、大勢の人民(!)が大型プールでハシャギ回っている姿が報道されています。もう何やっても大丈夫です。感染者はおろかウィルスの欠片すらなくなったようです。発生当時、武漢の病院での阿鼻叫喚という表現がぴったりの患者達はどうなってしまったのでしょうか。皆さん、どこかへ行ってしまったのでしょうか。全員墓場という事は無いでしょう。元気に家に帰ったのだと思います。

ここに至ったのは、なんと言っても中国の制度によるところが大きいと思います。武漢ではほぼ完璧の封鎖が行われたようです。市は完璧に封鎖され、内外の交流は絶たれました。人々は家など一定箇所に閉じ込められ、自家製の牢屋にいるような状態であったようです。私の認識では、あの国には勝手な行動をしがちな人々が結構居る筈です。その彼らが、規制に従ったのです。従わされたというのが妥当かもしれません。規制に従うべき力の行使がなされたということでしょう。これが優れて功を奏し、今や武漢は発生前の状態に全面復帰しました。プールではしゃぐ人々は明るく幸せそうです。共産党独裁制度による人民管理の勝利です。阿鼻叫喚の世界を脱し人民は幸せを取り戻しました。結果を見れば、この制度がいかに優れているか判ります。評価すべきです。生死に関わる戦いは結果です。途中経過などは余分なことです。

我が国の要請などと言う甘っちょろい規制では、都知事様の出番が減る気配すらありません。ご苦労様です。

日本にも、日本共産党という政党があります。中国共産党と同じような思想信条をもつ政党だと思います。我が国のコロナは、米伯はもとより、他の国々と比べてよりましとは言え、一進一退の感じです。同じ共産党ですから、コミンテルン繋がりで、本当は対策の方法を知っているのではありませんか。でないとしたら、友党のよしみで、一つノウハウを教えて頂いてはいかがでしょうか。力を得て、日本で革命を起こして貰うのは御免ですが、コロナ対策案だけを助言して頂けたらと思う次第です。勝手すぎますか。

それに引替え、ファースト国の体たらくは困ったものです。大統領と知事が対立したりしていますが、断然ファーストの地位を確保しています。

私は米国で感染が広がりやすい原因を、チコちゃん並に、知っています。日本人選手の活躍が楽しみで、MLBの野球を頻繁にTV観戦しています。あの選手達の行動を見たことがあるでしょう。ベンチの中の汚いことと、そこへ「ぺっぺ、ぺっぺ・・」と唾だか痰だか判りませんが吐き散らしています。コロナは飛沫感染が主なようです。痰唾は飛沫の源泉です。国技として全世界の人が見ているのを気にすることもなく、「ぺっぺ、ぺっぺ・・」です。国内のあらゆるところでやらかしていると見るべきでしょう。国技です。全国津々浦々に痰唾汚染環境が広まっていると考えられます。珍説ですか。説得力があると勝手に思っています。

反論があると思います。見事コロナを克服した中国人も痰唾では引けをとらないではないか。賛成です。何が違うかです。自由と民主主義などと、国民を甘やかす制度と、不届き者には有無を言わせぬ制度との差が根本です。後者の優位性をもっと認識すべきです。

 伯の場合は人口比から言えば、米の上を行きます。自由、民主の制度は同じです。衛生環境の良くないファベーラの比率が高いことが一番効いていると思います。加えて、自由の上を行く好い加減さです。8時だよ!全員集合!8時集合の約束で出かけたある日本人は、30分経っても誰も来ないので仕方が無く家に戻りました。間違った判断でした。8時集合とは8時台に集まれば好かったのです。8時59分までは有効期限です。そうね、だいたいね。です。

ボルソナウ大統領は自らコロナに感染しました。トランプさんより上です。国民とともにです。感染、発症中に人前に出てマスクを外し、ほらこんなに元気だと、集まった人たちに愛嬌を振りまきました。愛嬌だけが振りまかれたとは思えません。都知事的言い回しをすれば、with coronaです。伯語ではcom coronaです。どうでも好いことです。国民の上を行く好い加減の極みです。

コロナ対策に負けず劣らず、中国共産党の制度、政策で素晴らしいのが香港対策です。ほんのこの間まで、デモで騒然としていました。若者は傷つき、憤っていました。同じ人権問題の米black lives matter運動は収まりが付きそうにありませんが、香港は収束に向かっているようです。

欧米諸国は怪しからんと非難しています。約束した50年間の一国二制度の破壊、放棄だ。国際的約束に反している。

元はと言えばイギリスがアヘンと武力で取った土地を返すに中っての約束事です。破って好い約束というのは約束とは言えません。その通りです。でもねぇ・・・。

香港の当事者にしてみれば、香港で作られそうな法律に反対して何とか潰したと思っていたら、本国が勝手にそれよりきつい法律を作って、捕まえられてしまいました。議会に出て抵抗しようとしても、この法律に反対する輩は駄目だと、資格審査で出るに出られません。そういう法律のようです。お前が今までやっていたことはこの度の法律に反するからとっ捕まえる。法治国家だから法に従え。法に従わぬ輩は国家に対する反逆者だ。参りました。降参です。私としては、絶対に国家の側に立ちたい。居たい。反逆者側では耐えられそうもありません。「卑怯者さらば去れ、我らは赤旗・」・そう非難されそうです。どちら側の歌でしたっけ。間違いですか。

それにしても、事後法で捕まえるなんぞは怪しからん事です。しかし国際的にこれをやらかしたのは、アメリカを筆頭とする欧米諸国です。東京裁判では逮捕されただけではなく「death by hanging」までやらかしています。

選挙権の制限も困ります。

アメリカ大統領戦が行われています。この度、初めて知りました。世界の民主主義のリーダーと認識されていたアメリカにも制限がありました。それもかなり陰険な方法です。立候補制限ではなく、投票制限です。投票に際し、写真付の身分証明書がないと投票所には入れないようです。写真付身分証は運転免許証のほかに一、二あるようですが、低所得者、下層階級者は保有率がかなり低いようです。持たない層の人は投票権があっても、投票ができません。代わりに郵便投票という方法があります。郵便ポストの削減、自動仕分け装置の廃棄。新たに任命された郵政関係のボスがこれを実行し、投票妨害、遅延による無効票化を図っていると噂されています。陰険です、陰湿です。それを堂々とやれるというのも奇妙ではあります。権利を与えて使わせない。陰険です。中国は堂々としています。俺が駄目といったヤツは駄目。権利など与えません。。

こういった選挙における制限は米中のような大国に限りません。日本にもあります。日本では立候補に際し供託金が必要です。国会議員で300万円。一番安い市議会議員で30万円です。私の懐と相談してみると、一大決意をすれば市議ならいけそうです。国会議員は御免なさいです。供託金は一定の票数を取れば返ってきます。デモ、返してもらえるだけの票は無理です。保釈金は、言われたことを守れば召し上げられません。自分の意思で没収を免れることが出来ます。供託金は自力ではなんともなりません。これは立候補に対する所得乃至は資産制限です。

その他の国のことは知りませんが、選挙の制限は日米中ともに似たようなものです。言いすぎですか。

中国は、なんのかんのと言われても、武漢、香港で成果を上げています。ひとえに中国共産党のお蔭です。

中国共産党をやけに持ち上げているではないかと批判されそうです。

此度の法律は香港、中国に留まらず、全世界に適用されるようです。一国二制度ではなく、全世界一制度です。

今年に入って県外はおろか市外に出たことも記憶にありません。ましてや、中国に行く機会も意思もないので捕まえられることはないと思います。しかし、香港の人を本国に拉致してぶち込んだ実績、実力のある国です。日本の北大の先生は先方の学会かなんかに招請されて行き、スパイ容疑で2ヶ月もぶち込まれました。コロナに対するのと同じように自粛対処して用心しておいた方が好いと判断したのです。私は中国、中国共産党、並びに習近平さんの悪口を言ったことはありません!絶対、殆ど、大抵、多分・・・。そう聞こえたとしたら、全てを取り消します。お許しを。断固日和ります。

 

では小噺を一つ。

 

維尼熊

 

香港での学会に出席していたオーストラリア人が突然保安当局に拘束された。

豪「ナンデ、ワタシツカマッタ?」

当局は動画を見せた。何年か前に、オーストラリアでネットに投稿した動画だった。当人がUFOキャッチャーでぬいぐるみをつり上げ、気に入らないといった風情でそれを放り投げていた。

豪「ワタシノドウガダ。ズットマエニトッタ」

保「維尼熊者習近平主席。不要動画。即国家転覆罪。光陰者百代之過客

習近平は小熊のプーさんに似ている。そのプーさんをつり上げ、放り投げるのは国家転覆を意図したものだ、何時かなんぞは問題にしない、と言っているらしい。

豪「プーサン?チガウ、チガウ。made in china のムカシノヌイグルミ。パクリモノ。ホントノプーサンジャナイ。ダカラ、ナゲタ」

保「錯誤?」

豪「チャイナ、カオニンショウジョウズ。プーサンジャナイ。スグワカル」

保安員は直ちに動画のプーサンの顔認証を行い、結論を出した。

保「了解、納得。非維尼熊。無罪放免!」

 

20209

 

 

 

 

2020年7月6日月曜日

万年筆とバット


万年筆とバット


山影と店の名残す故郷の

道は広く長く伸び



 中日新聞の地方版に「オーテ万年筆」が載っていた。我々の年代の豊橋人にとっては老舗名店舗の一つである。

豊橋市内の旧跡を尋ねての記事だ。市の中心部、広小路通りに店と看板が残っていてその写真が出ていた。看板に見覚えがある。

何度も前を通っているのに気づかなかった。屋根の上に突き出た万年筆の大きな看板である。散歩がてらに行ってみた。涙がこぼれないほどに上を向いて歩かないと気づかない。おまけに、色が薄黒くて映えない。退色してしまったのだろう。ここの店は閉めてしまい、別の場所でやっているとのことだ。

「オーテ万年筆」で初めて万年筆を買った。高校生の時だった。

それより昔、小学校時代に万年筆を持っていたヤツが一人だけいた。他の同級生は鉛筆と消しゴムだけが筆記用具だった。学校は渥美半島の先っぽ、福江という町だ。

一人だけ万年筆を持っていたヤツは、名古屋の旅館で買った。オサミという名前だ。

小学校の修学旅行は名古屋一泊だった。ほとんどの生徒が初めての大都会である。修学先で覚えているのは唯一NHKだけだ。貝殻を使った蛙の鳴き声、豆を糸で通してぶら下げた渋団扇を仰ぐ雨音。蓑に入れた豆を揺らして波音を聴かせる。NHKとはいえ、専らラジオ放送の時代である。擬音というか効果音というのか、その造り方は驚きだった。

その一泊の旅館に、物売りが来た。今にして思えば、寅さん的売人である。万年筆を何本か取り出し、口上を述べた。万年筆なるものの適正価格など田舎小学生には判らない。判らないが、それが貰ってきた小遣いの範囲であれば買える。先生は側に居なかったと思う。売人も旅館の許可を得て入っているのだから、それなりの者なのかもしれないし、適当に結託していたのかもしれない。一人だけ、オサミが買った。他のヤツは誰も買わなかった。怪しげななどと思ったからではない。金を持っていなかっただけだ。

オサミは自慢の万年筆をしょっちゅういじっていた。字を書いているわけではなく、キャップをはめたり、はずししたり、インクを入れたりしていることの方が多かった。

中学に入っても、彼は万年筆を手慰み道具にしていた。

英語がベラベラ喋れるので、ベラさんと呼ばれていた先生の時間だった。ベラさんは英語と職業を受け持っていた。どちらの授業だったか覚えはない。万年筆をいじっているオサミの前にベラさんが来た。注意をしに来たのではなさそうだった。先生にとって万年筆なんぞは珍しくもないだろうが、オサミの手元を見ていた。オサミは先生に気がついていなかった。何故かオサミの手が滑ったのか、ペン先からインクがピューと飛び出した。顔を上げたオサミとベラさんは顔を見合わせた。ベラさんの白いワイシャツにブルーブラックのインクが着いていた。顔を見合わせた二人は見つめ合ったままいた。今風に言えば、静止画像である。どういう始末となったか。静止画像以降の記憶は無い。

「オーテ万年筆」で初めて万年筆を買ったとき、静止画像のシーンを想い出した。この度の新聞記事で想い出したのも静止画像である。

そういえば「ミカド運動具店」がこの近所にあるはずだ。こちらも老舗店である。広小路通りを二往復ほど行き来してみたが、それらしい店はなかった。運動具店は万年筆店ほどの単品販売ではない。この手の店もチェーン店でないとやってられないのかもしれない

「ミカド運動具店」はソフトボールのバットを買った店だ。正しくは買いに行った店だ。小学校3年生になりたての頃だ。当時、隣の豊川市の牛久保小学校にいた。延べ5つの小学校に在籍したが、3番目の小学校だ。小学3年生がバットを買えるわけがない。白井いう名前の女先生が買った。先生はその年学校を出たばかりで、私たちの受け持ちになった。担任ではなく、担任見習いだったのかもしれない。その白井先生がバットを買ってくれる。初給料だったのではなかろうか。バットを買うために豊橋へ行く。運動具と言えば「ミカド運動具店」だ。今は物を買う場合、店の数も多く、何々はどこそこというような買い方はしない。安ければネットで買う。当時は豊川にはそういう店がなかったのかもしれない。万年筆は「オーテ万年筆」で、バットは「ミカド運動具店」とされていた。私は豊橋出身だから「ミカド運動具店」を知っているだろうと同行者に選ばれた。豊橋までは飯田線だ。他に二人ほどが一緒に行ったと思うが、運賃も先生が払ったに違いない。丁寧に時間をかけてバットを選んだ。専ら先生が品定めをした。生徒の私たちは若干の緊張感をもって眺めていた。

そのバットで何回かソフトボールをやった。白井先生も一緒にやった。学生時代にやったとかで、巧いなぁと思った。

先生の顔は思い出せない。バットは焼き印の周りが毛羽立ってきたのを思い出す。暫くして、私は4番目の小学校に転校した。先生とバットのその後は知らない。

以来、ソフトボール、軟式野球とバットを使う事はしばしばやった。それに引替え、万年筆を使うことはあまりなかった。仕事で使ったのは鉛筆とボールペンだったと思う。それも引け目を感じながら書いてきた。字が巧いなぁと思う方々は結構大勢いる。下手だなぁと思う人は皆無に近い。自分の書いた字が読めないことがある。一流の下手くそだ。

時を経て、ワープロ、パソコンと文章表現の自由を与えてくれた。世の中の進歩で一番感謝しているのは、これらの機器だ。今こうやって駄文を書けるのも、そのお蔭だ。

モンブランの万年筆が手元にある。もちろんインクは入っていない。



では小噺を一つ



Made in china



官房長官に記者が質問をした。

記者「アベノマスクは行き渡ったようですね?」

長官「はい、小さいとか、汚いとか、一部に不具合があったのは事実ですが・・・発注先の一部を国内に切り替えまして・・」

記者「助成金の方は、一部にしか届いてないようですが?」

長官「はい、遅れているという報告を受けております・・・」

記者「遅れているのは何故ですか?」

長官「はい、発注先に問題がありまして・・・」

記者「発注先ですか?」

長官「はい、助成金は、小さいとか汚れがあったりするのは拙いと考えまし  て、全てを国内に切り替え、・・ハイ」



20207

2020年5月6日水曜日

カタカナ語


 カタカナ語論

唐物も昔漢字で今カタカナ

厠トイレで武漢はコロナ



4月の初旬に久しぶりにカタカナおばさん、小池東京都知事をTVで観ました。

♫あれは3年前・・ららら・・♫

3年前に、豊洲移転関連でカタカナ語の連発に戸惑い、あらぬ事を言ってしまいました。その折りには「アガッテている、いない・・」などと失礼ナ言葉を使いました。この度はカタカナおばさんなどとは失礼かとも思いましたが、管官房長官も令和おじさんと言われて満更ではない様子でしたから、同じような年格好の方をおばさん呼ばわりしても、差し支えはないと考えた次第です。

この度のご発言もまずはカタカナ語で来られました。

曰く「オーバーシュートの恐れがあるので、東京をロックダウン・・・」

オーバー、シュート、ロック、ダウン。どれも寿限無より簡単な単語で、それぞれは聞いたことがあります。でも組み合わせて表される意味は分かりませんでした。世の中、通人はいるものです。ニュースの解説というか説明で、オーバーシュートは行き過ぎたことでロックダウンは封鎖だとのことでした。カタカナ語の羅列で、己の知識をひけらかし、自己満足でいい気分に浸っているとしか見えません。語学力で劣位にある私の僻目かもしれません。都民のような文明開化の進んだ人たちには判ったのでしょう。解説の中には、知事は事態が切迫している事を都民に強く伝えるべく、衝撃の強い言葉を使ったというのもありました。だとすると、知事は間違いを犯していませんか。トイレ・便所論です。私の勝手論です。トイレは綺麗で便所は汚い。都民の文明度が高くても、日本語を母国語として育った身には、日本語が一番肌身にしみています。東京都を封鎖すると言った方が、都民はもとより日本人の大多数が吃驚仰天、緊張の極みで失禁するぐらいの効き目があったのではと思います。カタカナ語ではそうはいきません。

カタカナ語に関わる件で我が意を得たりの話がありました。

福井県の県会議員さんです。観光事業に関する条例案か何かで「フォトジェニック」とか「インフルエンサー」といったカタカナ語が多用されているとし、端的に言えば、日本語で書け、日本語で説明しろと言いました。県のお役人は日本語として定着していると主張したそうです。観光庁の「ホームページ」に記載されている単語だからということです。国語審議会にでも諮問してみてほしいものです。お前は定着している日本語が分からないのかという言い草です。他にも「キャッチフレーズ、ロゴ、エリアブランディング、ポータルサイト、インスタグラマー」などが使われていたようです。判るかなぁ?判らないだろうなぁ?です。

「横文字、片仮名が並んでいるが、誠に不愉快。年寄りには判らない」

「日本語でやってほしい。気に入らない」

「年寄りはカタカナ語の教育を受けていない。判らない」

ちなみにその議員は77才です。70代のお若い方が、判らない、不愉快だ。です。私のような80代の年寄りには一層判らない、不愉快だ。です。お役人の「お前この程度のことを知らないの?」の態度にひるまず、臆さずの勇気ある?!姿勢です。お役人も立派です。議員様の、要望、要求を無視してしまったようです。若しかして、このお役人は観光庁あたりからの天下りか、出向者なのかもしれません。やむを得ない所業です。県議ごときなどはと見下しています。

俺は知らない、聞いてない。理解できない、判らない。己の不勉強を棚に上げ、他人様の言い分に耳を貸さないのは宜しくありません。逃げです。卑怯です。そう言われそうです。勉強、勉強。

本屋で見つけました。

PHP文庫の“超訳「カタカナ語」事典”です。さぁ、勉強、勉強。

飾り表紙とでも言うのでしょうか、本を少し固めの紙で覆ったものです。そこに本の題名を取り囲んでカタカナ語の見本が描かれています。

「コンテンポラリー」「モジュール」「トリビュート」「スキーム」「ガバナンス」「レジュメ」「アセスメント」「アジェンダ」「ビストロ」「オルタナティブ」「リテラシー」「プロトコル」

文字順が合っていますか?横目で見ながら写しています。大丈夫でしょうか。

聞いたことがありますか?知っていますか?判りますか?腑に落ちますか?

本文を開くと最初の言葉は「アーキテクチャー」で最後は「ロコモ」です。白状します。途中、それもさほど進まずに「ギブアップ」しました。因みに「ギブアップ」などという私でも使えるカタカナ語は掲載されていません。

何故「ギブアップ」したか。

聞いたことあるなぁ。あぁそういうことか。なるほどナ。ホー、知らなかった。・・・・。少し読み進むと、イケマセン。・・・さっきのあの言葉は何だったヶ?あぁそうか。・・・。イケマセン。・・・・。

低容量の頭脳には混乱だけが蓄積します。要「デフラグ」状態になります。諦めました。情けない限りと思いましたが、ひょいと開いた頁で気を取り直すことが出来ました。

「ワルツ」「マーチ」「シンフォニー」「コンチェルト」・・・・・「ロンド」。

全部腑に落ちました。しかし、人様に説明しろと言われても出来ません。「円舞曲」、「行進曲」の方が判りやすいとは思いますが、「ワルツ」「マーチ」で違和感はありません。基本的には慣れの問題でしょう。年寄は多くのカタカナ語に不慣れです。

気を取り直すことは出来ましたが、気に入らない点は残ったままです。当時「ワルツ」には「ワルツ」本体も日本語もありませんでした。舶来品です。だからそのまま「ワルツ」でも好いし、円舞曲という見事な訳語も好いと思います。

「ロックダウン」はもちろん言葉はありませんでした。これは舶来品です。但し、本体は日本にありました。江戸時代まで遡れば、関所を通るには手形が要りました。もっと狭い範囲では、江戸の町は夜間四つ時過ぎには木戸が閉められ、町内への出入りすら儘になりませんでした。単語も、都市封鎖という日本語があります。わざわざ、外国語訳をする必要はありません。日本人に話し、知らせるのに分かる日本語をわざわざ判らない外国語に訳して意味があろう筈がありません。

非常事態宣言が出ても巣鴨の商店街は賑わっているとか。知事の使った、判らないカタカナ語では身にしみない証かと思います。

知事だけを責めるのはイケマセン。

「ステイホーム」「ソーシャルディスタンス」だそうです。

国の緊急事態宣言に伴い、要望されました。都に止まらず国もです。

「ステイホーム」じゃぁソファとベッドが無いと出来そうもありません。家は畳に布団を敷いているョです。なるべく家から出ないでネではいけませんか。「ソーシャルディスタンス」てぇのは上級国民と下級国民は格差をつける。又は差がつく。イヤミたらたらの、言い掛りです。ニューヨークではブロンクス、クィーンズの発症者、死者が圧倒的に多いようです。名の通った地区です。「ソーシャルディスタンス」が馬鹿でかく、一番離れた人々が住んでいるようです。

コロナに関連しても、かくも多くのカタカナ語が使われています。

起源説から言えば、カタカナではなく漢字が最適かと思いますが、若しかして米軍関係者が持ち込んだ説に忖度してか、カタカナが使われています。

「コロナ」などとカタカナではなく、「武漢」と漢字表記した方が腑に落ちます。



それでは小噺を一つ。



執行猶予



 オレオレ詐欺などで世間を誑かし、億の金を稼いだ男が身罷った。

閻魔「その方、俺だとか還付だとかいい加減な嘘を言って世界を誑かした。誠にもって不届き千万。よって、有罪。舌抜きの刑に処する」

テド「有罪?!舌抜き?!私は嘘など言っておりません」

閻魔「黙れ、黙れ!この期に及んでまで嘘をつくでない。罪状明白!言訳無用。・・・但し、執行を猶予する」

閻魔大王はそれだけ言うとそそくさと退廷した。

男「は?・・執行猶予ですか。助かった。ところでどうして執行猶予で?」

男は書記官の司命に尋ねた。

司命「困ったことじゃて。この所、閻魔大王様は濃厚接触を嫌って、舌を抜くことをやらないんじゃ」

20205.)

2020年4月6日月曜日

コロナ


コロナ

コチ吹けど匂いかげない梅の香に

日延べ中止は花盛り



このところは、コロナ一色です。私たちに恵みをもたらす太陽から吹き出すコロナが、忌まわしい言葉に堕落してしまいました。テレビも新聞もインターネットもコロナ、コロナです。ウィルスに取り囲まれて、直接濃厚接触しているようです。脳細胞に住み着いて、すっかりコロナ感染気分です。逃げ出したいと思いますが、あえてコロナウィルスについて、世相に迎合しながら克服してみようと思います。コロナアレルギーに罹っている方はここまでにしてください。

小噺の一つの定型に「いい話と悪い話がある。どちらから聴きたいか」で始まるのがあります。コロナウィルスについて悪い話といい話があります。ほとんどが悪い話ですから、悪い話からといたします。

高齢者は致死率が高いということです。私は後期高齢者、末期高齢者です。同じくらいの年と思われる木村太郎さんという方がお怒りになったそうです。TV番組の中で、コロナはよく分からないがとんでもなく怖がる必要は無い、と言った人と番組に対して気色ばんで抗議をしたようです。俺たち年寄りは10倍以上も致死率が高い、軽々しく扱われるのは駄目だ、と。この人、トランプさんの大統領選勝利を予言していました。占い師ではありません。ちゃんと各種情報を分析してのことです。たいした人だなぁと思っていました。彼の発言に同感することが結構多くありました。なるほどと教えられる事が少なくありません。池上さんの解説はそうだねと思う程度ですが、太郎さんのは、へーソウなのか、なるほどそういう見方ねぇと、奥行きに差があります。この高齢者致死率に関するTVを見ていませんが、抗議の話で、これから少し眉に唾して彼の話を聞くことになりそうです。どんな病気でも高齢者の致死率が高いのは自然です。場合によっては、何もしないでも死にます。情報を沢山持ち、分析力に長けた人なのに、己の命が関わると冷静でなくなるということが判りました。残念というか、当然というか。

いい話もあります。血液型がOの人は致死率が低いのだそうです。占いの話ではありません。武漢大学の医療チームが4千人ほどの感染者について分析した結果だそうです。私はO型です。感染しても死ぬ確率が低い、A型の人の7掛程度です。血液型を訊いたり、それで性格などを言い立てたりするのは日本人だけのようです。それなのに、何故中国人のお医者さんが、このお忙しい最中に暇つぶしのような解析をしたのか不思議でなりません。何か医学的背景があるのでしょうか。それとも、習さんがO型なのでしょうか。もし感染したら自分はO型であることを大いに自覚し、利点を生かすことで死に至らないよう努める所存です。私はO型ですが、そうでない人にはいい話ではありません。お許しを。

コロナは全世界的になっています。南半球もです。

ブラジルの知人がFace bookで伝えてきました。3月初旬のことです。

1月の感染者数;中国・11948人 ブラジル・30763人」

中国はコロナ感染者、ブラジルはデンギー感染者数です。デンギーはデング熱のことです。8年ほど前に日本でも感染者が出ました。このときはかなりの騒ぎになり、代々木公園周辺の蚊は徹底的に殺処分されました。

1月の感染者数;・・・」これは、自虐的警句です。ブラジルの5倍ほどの人口である中国で1万人の感染者で大騒ぎしているが、我がブラジルでは3万人のデンギーが出ているんだぞ。このときはまだブラジルではコロナ感染者はいなかったと思います。Nikkei新聞によれば44日で死者が400人を越え、全ての州で感染者がでたそうです。感染者数も1万人を超えました。これは困ったことです。ブラジルは今夏です。私はかの国で43℃の気温を体験しました。その夏の国で、デンギーと競うかのようにコロナが冬の日本を遙かにしのぐ勢いです。

 コロナもインフルエンザと同じように、♫夏が来れば想い出す、遙かな・・・♫と気楽に構えていました。日本の夏、マラソンも出来ないほどの高温多湿でも救いにならない可能性があります。キンチョウの夏です。

 デンギーがらみでもう一つ。

デンギーはウィルスが複数種あるのだそうです。話を簡単にするために、甲種と乙種とでもしておきます。始めに甲種に感染します。ほとんどの人が軽症です。二度目の感染をします。甲to甲の場合には再発しないか極めて軽症なのが、乙種に感染すると重症化して死んでしまうこともあります。甲で出来た抗体と乙のウィルスとの折り合いが酷く悪いのです。だから、デンギーのワクチンは無い、ということです。ほんの少しの知り合いが、デンギーに罹り日本へ逃げました。日系二世の伯人です。只、彼は私の在伯中にブラジルへ戻ってきました。デンギーと折り合いをつける方が気楽だ。そう言っていました。

 デンギーと折り合いをつける。日本ではあの時、代々木公園周辺の蚊を徹底駆除しました。デンギーウィルスの媒体は蚊です。蚊を殺処分することで解決しました。ブラジルは代々木公園より広いし、蚊の数も多いので毎年夏になるとデンギーが流行ります。

 本家の中国の研究によると、コロナも複数の型があるとのことです。デンギーと同じように型間の相性が悪いとワクチンが出来ない事になりかねません。早いところ治療薬を見つけるしか道は無いようです。

 もう一つブラジルがらみです。感染者の中にアマゾンに住む原住民の一人が感染したとのことです。ワクチン、高温多湿に続いて、三密にまで疑問が生じました。彼らは「密閉、密集、密接」のどれにもほとんど巻き込まれないでしょう。三密を避けても感染すると言うことになります。僻地巡回医師からの感染が疑われているようですが、発症を誰が見つけたのか。ウィルス検査を何故やったのか。病気だとアマゾンの奥地から診察を受けに来たのでしょうか。おかしな話ではあります。

武漢の市場で売られていたコウモリが元というのが間違いとのことです。これも当初言われていた人to人感染は無いどころか、人to人が本流のようです。人が媒体、宿主らしいのです。どこぞの国では行われたという風評がありますが、まさか人間を殺処分とはいきません。しかし気になります。媒体、宿主が人間ということは他の動植物は関わらない、人間が関わったということになるのでしょうか。研究所説に引っかかりを感じます。武漢の研究所というのは噂ですが、アメリカの軍組織がというのは中国の高官が唱えています。巷間の噂話と高官の発言のどちらに信頼感があるかということです。

 身近では、当市内で感染者が一人でました。隣の蒲郡市で感染を知った男が、菌をばらまいてくるという自爆テロもどきのことをしました。本人は死んでしまったそうです。♫シビレ、シビレ京上れ、京の子供に皆うつれ!♫ 他人にうつすと病気が治る。子供の頃痺れが切れるとこう唱えたものです。バラマキ男は50歳代だったようですが、この手の歌で育ったのでしょうか。

自宅待機の要請はありません。あろうとなかろうと、老人性蟄居症状態ですからそれほど影響は無いと思います。とはいえ、時々スーパーとか飲食店には行きます。先日市内唯一の百貨店「ほの国」が閉店しました。棟方志功、片岡球子等の作品を閉店見切り販売するというチラシにつられて行ってきました。ギャラリーには私だけでした。店員が二人も寄ってきたので、こそこそと引き上げました。ついでに地下の食品売り場へ行くと、結構大勢のお客さんがいました。店員も客も皆マスクをしていました。マスクが足りないのは医療機関だけなのでしょうか。我が家には花粉用に準備していたマスクがそれなりにあります。

それなりにコロナ対策をしております。出かける時には間違いなくマスクをします。帰ると手を洗います。手首まで洗えというご指導がありますが、手首には長袖のシャツ、セーター上着など重装備をしています。マスクよりウィルスの通りは悪いのではありませんか。手首は洗いません。これを手抜きと言います!手袋をしていきます。ものに触れ、触った手で顔を擦り、目鼻などの粘膜からウィルスが侵入するとのことですが。それならマスクより手袋の方が必要でしょう。手袋は洗えば再利用できます。

手を洗うのには違和感はありません。もちろんうがいをします。口はそれでいいのですが、喉もさることながら鼻は放置されることになります。私の工夫です。家に近づくとマスクを外して深呼吸をします。待つこと暫し。クシャミがでます。なんとか出るまで深呼吸をしたりして時間稼ぎをします。花粉の利用です。花粉症です。これでクシャミが出て、鼻水が垂れてきます。垂れるという表現より流れ落ちると言った方が正確です。残った鼻水をかんで鼻腔内の清掃は完了です。家に入って、うがいをし、手と顔を洗います。顔を洗うというより、眼を洗います。マスクの備蓄、鼻腔対策と花粉症がコロナ対策に貢献しています。

昨年暮れに風邪を引きました。38℃台を記録し、4日ほど37℃台が続きました。平熱は35℃台ですから、私としては高熱です。それでも、インフルエンザではないと自己診断しました。医者に行ってインフルエンザを移されるよりルルでも飲んで寝ている方が好い。勝手にそう決めていましたが、家内も似たような症状になり、孫子との正月を中止しました。

当時、向いのホテルには毎朝5台以上のバスが来て盛況でした。中国からの観光客です。武漢からかどうかは知りません。この頃すでに彼の地ではコロナによる死者が出ていたようです。内緒にされていました。もしかしてこの時?濃厚接触などはしていませんが、・・。さすれば,私はすでにコロナに感染し治癒しているのかもしれません。だといいなぁ、と思います。いい話です。

まさか、コロナは日本製で私が彼らに・・・。だと拙いなぁ。

いい話はありませんでした?



それでは小噺を一つ。



三途の渡しにて その4



またまた三途の渡しにレポーターがやって来た。行列は相変わらず長く続いていたが、奪衣婆と架衣翁の姿はなく青鬼が彼らの仕事をやっていた。

R「初めまして、・・。奪衣婆と架衣翁の姿が見えませんが・・」

青鬼「彼らは家にいる。俺たち二人は閻魔の庁からの命令で働いている」

R「何かあったのですか?」

青鬼「詳しいことは知らんが、なんでもコロナとかが娑婆で流行っているらしい。奪衣婆も架衣翁も、年寄りは重症化するとかで、外出禁止になった」

R「コロナの影響がこちらまで?!ところで、お仲間が向こうで座り込んでいますが?真っ赤な顔をして、熱でも・・?あ、赤鬼さんですね」

青鬼「赤鬼?俺の弟だ、赤鬼なんかじゃあない」

少し離れた処で、赤鬼がへたり込んでいた。

R「若しかしてコロナに感染したのでは?」

青鬼「おい!どうした。・・・・あの野郎、また勤務中に酒を飲みやがったな。すぐ赤くなって、バレルのに。馬鹿!」

20204

2020年3月6日金曜日

鐵学のついでに


鐵学のついでに

忘れしゃんすなAB型を

Cなぞほんの鼻っタレ



 久しぶりに昔の勤め先が新聞に載っていた。新聞、TVの大方がコロナウィルスに関するもので占められている中で、比較的大きく取り上げられていた。

・・「日鉄、呉製鉄所23年で閉鎖」・・名古屋厚板ライン休止へ・・

 私が働いていた頃は「新日鉄」で、室蘭・釜石・君津・名古屋・堺・広畑・光・八幡・大分の製鉄所があった。働いたことがある製鉄所は名古屋と釜石で、他は出張で行ったことがあるだけだ。呉はその後の合併によって一緒になった製鉄所で、一度も行ったことはない。とは言え、競争相手で、世界には仲間であった製鉄所であり、奇妙な気分になる。

別掲の「てつ学のついでに」は今月号でおしまい。その「ついでに」訪問した新日鉄製鉄所関連のお話しをする。勤め先の本業は「てつ」ではなく「鐵」である。とは言え「ついで」の話であるから、お仕事とは関係ない。古くなり、終わった、無くなった話をである。



初めて訪れた製鉄所は八幡である。学校の修学旅行の様なもので見学をさせてもらった。学業と就職への参考が目的で幾つかの会社、工場を訪問した内の一つだ。

八幡製鉄所の本事務所は現在世界遺産になっているが、当時は確か重要文化財かなんかになっていた。そこで会社の説明を受けた。素晴らしい価値のある建物を仕事に使っている。歴史の重さと大きさを感じさせる会社だと思った。重厚な赤煉瓦造りは、製鉄会社の旗頭を顕わし、誇るにふさわしいものに思えた。

一方で、落差を感じたこともあった。すぐ脇にある枝光駅のプラットホームで、赤茶けた煙に包まれてしまった。駅の近辺にある鋼造りのための炉、平炉の煙突から出る煙が降りてきていた。レンガの赤とは違う色だ。製鉄会社で働くのはちょっとナァと思った。

如何したことか、就職の折にはすっかりそのことを忘れていた。思い出したのは、釜石製鉄所に新入社員として赴任の時だった。就職列車が釜石駅構内に入っていくと、平炉の煙突から吐き出される煙が列車に向かってたなびいてきた。

「♫山の火花は夜空を焦がす・♫・あの子年頃、・・・♫胸焦がす・・・」

釜石小唄に歌われた山の火花は赤茶けていたはずだ。それを歌にして讃えるほどのものだ。気にするなんぞはとんでもないことだ。

それから何年もしないうちに、生産性の低い平炉は転炉に置き換わり姿を消した。転炉の煙突には強力な除塵装置がつけられており、平炉の煙突の面影は無い。



新入社員の夏、初めての出張を命じられた。室蘭製鉄所である。

青森駅に列車が到着する直前に、「さぁ、支度、したく」と声をかけられた。お客は全員身支度を調え準備にかかる。のんびり、ゆっくりしている人は青森駅で降りる人だ。そして汽車が停まると一斉に駆け出した。青函連絡船に乗るためには走らなくてはならないということだ。連絡船の座席は少ないらしく、座るためには我先にと駈けないといけない。定員オーバーで大丈夫か?船だぞ。沈むんじゃあないか。我々の同行者に知恵者、経験者がいた。「乗務員になにがしかのチップを渡すと案内してくれる」さすが経験者。幾ら渡したか覚えが無いが、座席ではなく、畳敷きの広間のような処に案内された。結構広くのんびりできる広さがあった。当時は国鉄だ。チップか。ワイロか。別に気にもならなかった。結果として津軽海峡を渡れればそれでいい。青函トンネルを新幹線が走る今、キップがあればチップはいらない。連絡船だけでなくチップもなくなっていることだろう。

室蘭で、北海道で無くなっているものがもう一つある。製鉄所内の食堂で食べた昼食のご飯がひどく不味かった。当時、北海道産米は美味くないという評判は聞いていた。パサパサというか、ボソボソというか。味以前の食感がいけない。それに引替え、会社の宿泊設備、知利別会館のご飯は頗るつき美味かった。内地米だった。銀シャリという響き、味だった。内地米という言葉をこの時初めて聞いたと思う。それがどうだ。最近では「ゆめぴりか」などと名乗る銘柄米ができるようになっている。時々北海道米を食し、満足している。今ではあのバサ、ボソ米はなくなり、内地米という言葉も消え去っているだろう。農業技術の進歩発展は製鉄業を超えている。



釜石、名古屋からは大分製鉄所には飛行機だ。今では新幹線を使うことも出来るだろう。花巻か名古屋空港からはYS11に乗ったと思う。プロペラがあった。国産の飛行機で、小さいながら格好良かった。

大分空港からはホーバークラフトだ。船に相撲のまわしを締めたような形で、かなり大きな音を立てて振動する。あれで長距離移動だと疲れてしまうだろうが、1020分くらいだから、遊園地でコースターにでも乗っているような気分が味わえる。上陸するとダッダッダと振動が変り、到着を知ることが出来る。ホーバーは大分出張の楽しみの一つだった。これがなくなったらしい。YS11はどこかで飛んでいるということも聞くが、定かでない。ユニークな乗り物がなくなるのは 残念なことだ。



光製鉄所で会議があり、懇親会で鯛がでた。瀬戸内海の鯛は名が通っている。名は通っているのだが、喉を通らなかった。正確には身は通ったが、骨が通らなかった。喉に骨が刺さってしまった。耐えられないほどのことではないが、痛い。

釜石へ帰った。その足で、会社の診療所へ行った。早速院長先生のお世話になった。

「アーン」

鯛の骨はきついから気をつけて食え。食いつけないものを食べるからだ。釜石で、ウニとアワビを食べていればいい。ついでにホヤもつけて貰え。絶対に骨なんぞ刺さらねぇ。

「あぁ、無くなっとる。ないョ」

骨はない。骨のない男だなんて言わない。少し傷になっているだけだ。

いつものようにニコニコしながら、先生は診察結果を告げた。

痛みはなくなった。

もう何十年も昔のことである。だが、少し気になる。実は、風邪気味だなぁと思うときは喉が必ず痛くなる。その痛くなるのが、あの骨の刺さった箇所と同じように思えるのだ。無くなったといっても、何かしらが幾年月経っても残っているのではなかろうか。何でもそうだ。

コロナで世の中持ちきりだが、この界隈ではAB型のインフルエンザでの学級閉鎖が結構多い。古いからとて、消え去った気配はない。

【忘れようとしても思い出せないことばかり】



それでは小噺を一つ。



三途の渡しにて・その3



日本の渡し場では奪衣婆が受付を終えた亡者の着ている物を剥ぎ取り、架衣翁がこれを木に架けて、前世における罪状を測っていた。極楽行きと地獄行きはかなり時間をかけて決められた。二人とも忙しく汗びっしょりになるほど働いていた。隣のもろこしの渡し場では何やら書類を見るだけで、短時間で行き先が決められていた。レポーターが架衣翁に尋ねた。

R「隣のもろこし側はずいぶん手続きが簡単ですね」

架「あっちは好いよ。前世で社会信用システムとやらで全人民の分別、格付けが終わっているらしい。前世の政府発行の書類に従って地獄極楽の道筋を伝えるだけだから」 20203