はじめに

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2019年4月6日土曜日

続マラウイ法


続マラウイ法

 仁王とは語るに落ちる 息んで出したはお前だろ



浅草の観音様へ賽銭泥棒が入りました。

泥棒先生、四つん這いになったところを、あの大きな仁王様の足で、ガァーって踏まれたから、誠に尾籠なお話で恐れ入りますが、余程、切なかったと見えて、泥棒先生、一発やったてぇやつですな。
「んー。 この野郎、ふんっ。くせぇ野郎だぁ」
「へっへっへ、匂うかぁ」

志ん朝の花色木綿の枕とされております。泥棒と仁王のやり取りが結構です。本日も、誠に尾籠なお話しを恐れ入らずにやらかすことといたします。

出物腫れ物などと申しますが、仁王様の鼻っ先でも出てしまう屁。どこの国でも、誰でも出しますし、出された方は迷惑千万な代物でございます。

もう大方十年近くなりますが、マラウイという国でおなら禁止法なるものが制定されたそうでございます。

八「マラウイのおなら禁止法。あの話を二人でしてからもう何年も経ちました。覚えています?」

隠「いきなり認知症検査ときたな?受けてみよう。いろいろな国が、同じような法律を作ったなどいい加減な話をしたな」

すっかり年取ってしまった二人が、思い出話を始めました。所詮屁の噺です。くさい噺です。

八「何しろ屁ですから、時が経ちゃぁ消えていく。隠居の記憶より早そうだ」

隠「そう。風と共に去りぬ。いつまでもお騒がせ動画みたいに関係のない、多くの人様に迷惑をかけることもない。考えてみりゃぁ好いものだ」

八「やりましょうよ。ここいらで一発」

隠「お前さん。急にやろうっても、出るものじゃあないよ」

八「一発じゃあなくて、話、はなし!だよ」

隠「あぁ、話な。好いけど、前に話したことを覚えているようで、思い出せない。忘れちまっちゃあいないんだけどナ」

八「年はとりたくないもんだ。俺の名前は覚えてるかぃ?」

隠「八っぁんの名前?八っぁんだろう」

八「イヤー。まあいいとするか。ところでその後年月が経ってあの法律はどうなりました」

隠「法律ってぇのはそんなに簡単には変えられない。多くの国で未だに活きているようだ」

八「そいつはありがてぇ。早速やらかしましょう」

隠「そう言われると元気が出て、やらずばなんめいという気になってきた」

八「ほい、ほい。おぉ息んだな。出るか?」

隠「まずはアメリカだな。アメリカファーストでやらないと制裁されちまう」

八「制裁逃れもままならねぇ。10ドルくらいなら出すから、思い出して頂戴」

隠「そうそう、10ドルで思い出した。好いヒントを出すネ。えーっと。一発で10ドルの罰金が気に入らないてーんで、高い金を払って弁護士を雇い無罪を勝ち取った。富裕層は10ドルなんぞは屁みたいなものだ。貧乏人はそうはいかねぇ。10ドルでも大変だ」

八「10ドルてぇと千円に消費税くらいだ。お互い、屁でそれだけは出したくねえってやつで」

隠「そうだ。そこへ貧困商法がつけ込んだナ」

八「その制裁逃れをやり始めた。もしかしてセ取りで?」

隠「セじゃあない」

八「んじゃぁ、ヤだ。ヤ印の筋で?・・・」

隠「いや、ヤじゃなくてマだ。昔禁酒時代に取った杵柄で屁こき地下をマフィアが設営して、結構もうけているらしい」

八「屁をこくのにマフィアのご厄介ですか?ヤバくありませんか?」

隠「一発やっても、実弾は飛ばない。死人が出るわけじゃぁないのでネスも気がはいらねえようだ。屁だけに、触りようがない」

八「アンタッチャブルって言いたいんで・ぇ?!」

隠「・・・イエス・・」

八「くさい話だ。そろそろ他所へ行きましょう」

隠「うふん。次はやはりロシアだな。プーチンの件では人が命を落としたが、今はのどかなものだ」

八「プーチンがいなくなったんで?」

隠「彼は体を鍛えまくって元気だ。だが屁の話ではプーチンに後継者がいた」

八「メドベージェフですかい?」

隠「違う、ちがう。ザギトワだ」

八「スケートの?あぁ、分かった。プーチンに続いて秋田犬を日本から貰った」

隠「そう。その・・犬の名前はなんていったか?」

八「確か、マサル」

隠「雌犬なのにマサルと名付けた。その犬がたいしたものだそうな」

八「何かがマサッているんで?」

隠「そう。鼻」

八「犬の鼻が好いのは当たり前じゃないか」

隠「それが楽しいことに、ザギトワが漏らすとかなり遠くにいても駆けつけ、隣でお座りをする。こないだなんぞは演技中に思わず漏らしたら、氷の上に駆けつけお座りをしてしまった」

八「嘘でしょう。まるで麻薬探知犬だ」

隠「ところがほんの幾日か前からピタッとやらなくなった」

八「どこか具合でも悪くしたんで・・・?・」

隠「アキタ犬だから」

八「アキタ・・・そんなだじゃれ効果じゃあなくて、何か強烈なやつを嗅がされ鼻か頭がおかしくなったんじゃぁ?」

隠「そうかもしれん。あの国のこった。ありそうなことだが、洒落にならねぇ」

八「ところで我が国は防音防臭パンツが、廃棄時の処理問題で酷く値上がりして、こちらまで回ってこなくなっちまいましたヨ」

隠「聞いてる、聞いてる。大変だというので、TOTOがヘスレットを開発したヨ。コンビニに設置しはじめているが、24時間営業が怪しくなってきて心配なようだ。こないだも屁を堪えにこらえた客がブレーキとアクセルを間違えて突っ込んじまった。その拍子に一発ぶっ放した。ヘスレットまでがぶっ壊れたために店内に臭いが充満し、営業再開まで1週間かかったということだ」

八「そりゃぁ大変だった。でも、TOTO製品のへスレットなら、中国人観光客が爆買いしてくれっるんじゃぁ」

隠「どうかな。近頃、爆買いは流行らないらしい」

八「ところで、中国のまがい物のパンツはどうなったんで」

隠「あれは、まがい物に効果があると思って、公安の鼻っ先でやっちまったからしょっ引かれた話だナ」

八「長期拘留ですか?」

隠「いや。すぐ釈放された。鼻だけに鼻罪だ」

八「・・??ビザイ?・・成程。よござんした。その後どうなっています?」

隠「一人として捕まった輩はいない」

八「いい話だ。民度が向上して、みんなルールを守っているんですね。それとも、国の核心様のお名前が臭禁屁って言うんで、おっかないからですかぃ?」

隠「そんな名前は知らんが、誰も気にしないで、痰唾同様にやっているようだよ」

八「へー。公安は忙しくて屁までは手が回らないので」

隠「それもあるかもしれないが、なんせ大声の本場だ。屁の音なんぞ滅多に聞こえないし、分からない。PM2.5で多少の臭いもばれようがない」

八「屁天国で。・・・天国と言やぁ、お隣の北朝鮮はどんな様子ですか」

隠「ミサイルだぁ原爆だぁと物騒さが喧伝されていたが、今は落ち着いているようだ。それどころか、屁に関しては世界の最先端を行く国になった」

八「へー!?」

隠「制裁の影響もあり肥料不足をかこっている。毎年のように堆肥戦闘という運動で糞尿集めのノルマが課されているのは知っているだろ。ノルマが厳しいので、屁にまで手を出した。固体から液体へさらには気体燃料へとエネルギー源を拡大しているんだ。知恵者がいて簡単な集屁設備を考え、堆肥戦闘と合わせ屁を集めエネルギー源として使っている」

八「そんないい設備なら、各国が買ったら好いじゃない?」

隠「そうはいかない。経済制裁であの国から滅多な物を買うわけにいかん」

八「韓国が買いたがっているとかいう噂話を聞きましたけど」

隠「買ってやりたい気はあるのだが、アメリカがいい顔をしない。おまけに、必要性がないから買わない」

八「ほう、じゃぁ、韓国は何か対策があるんですか」

隠「尻を東南方向に向けてやれば、処罰されない。そばにいる人にかがれても、中国から臭ってきたといえば許される」

八「好い国で」

隠「しかし、国連から勧告を受けた。届け出なしでやってはいかんとナ」

八「韓国だからって言いたいんで」

隠「うん。言いたい。南東方向と言えば我が国だ。官房長官は、コリア遺憾って言いたいらしい」

八「あんまり息むと肩がコリアせん?」

隠「お互い、ダジャレのできが悪い。その位にしておこう」

八「その位にしておきますか。あぁ。イギリスを忘れちゃいけませんよ」

隠「忘れたわけじゃあない。イギリスは決議からの離脱を国民投票で決めた。屁ぐらい他国の干渉なしにやらせろって元気がよかったが、今だに出る出ないで揉めている」

八「出そうで出ないはババァの屁!・・ところで、メイさんはお幾つで?」

隠「知らん。ババァはいけない。言い方を変えなさい。日本ではこの5月から元号が変わる。それに併せて英国の呼び方も変えるらしい」

八「英国を?・・判った!!・ヘーコクだろ!」

隠「・・さーてと、わしらヘー民の知るところじゃあない」

テケテンテンテン・・・元号は令和と改まるそうで。お後もよろしいようで。

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