はじめに

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2020年5月6日水曜日

カタカナ語


 カタカナ語論

唐物も昔漢字で今カタカナ

厠トイレで武漢はコロナ



4月の初旬に久しぶりにカタカナおばさん、小池東京都知事をTVで観ました。

♫あれは3年前・・ららら・・♫

3年前に、豊洲移転関連でカタカナ語の連発に戸惑い、あらぬ事を言ってしまいました。その折りには「アガッテている、いない・・」などと失礼ナ言葉を使いました。この度はカタカナおばさんなどとは失礼かとも思いましたが、管官房長官も令和おじさんと言われて満更ではない様子でしたから、同じような年格好の方をおばさん呼ばわりしても、差し支えはないと考えた次第です。

この度のご発言もまずはカタカナ語で来られました。

曰く「オーバーシュートの恐れがあるので、東京をロックダウン・・・」

オーバー、シュート、ロック、ダウン。どれも寿限無より簡単な単語で、それぞれは聞いたことがあります。でも組み合わせて表される意味は分かりませんでした。世の中、通人はいるものです。ニュースの解説というか説明で、オーバーシュートは行き過ぎたことでロックダウンは封鎖だとのことでした。カタカナ語の羅列で、己の知識をひけらかし、自己満足でいい気分に浸っているとしか見えません。語学力で劣位にある私の僻目かもしれません。都民のような文明開化の進んだ人たちには判ったのでしょう。解説の中には、知事は事態が切迫している事を都民に強く伝えるべく、衝撃の強い言葉を使ったというのもありました。だとすると、知事は間違いを犯していませんか。トイレ・便所論です。私の勝手論です。トイレは綺麗で便所は汚い。都民の文明度が高くても、日本語を母国語として育った身には、日本語が一番肌身にしみています。東京都を封鎖すると言った方が、都民はもとより日本人の大多数が吃驚仰天、緊張の極みで失禁するぐらいの効き目があったのではと思います。カタカナ語ではそうはいきません。

カタカナ語に関わる件で我が意を得たりの話がありました。

福井県の県会議員さんです。観光事業に関する条例案か何かで「フォトジェニック」とか「インフルエンサー」といったカタカナ語が多用されているとし、端的に言えば、日本語で書け、日本語で説明しろと言いました。県のお役人は日本語として定着していると主張したそうです。観光庁の「ホームページ」に記載されている単語だからということです。国語審議会にでも諮問してみてほしいものです。お前は定着している日本語が分からないのかという言い草です。他にも「キャッチフレーズ、ロゴ、エリアブランディング、ポータルサイト、インスタグラマー」などが使われていたようです。判るかなぁ?判らないだろうなぁ?です。

「横文字、片仮名が並んでいるが、誠に不愉快。年寄りには判らない」

「日本語でやってほしい。気に入らない」

「年寄りはカタカナ語の教育を受けていない。判らない」

ちなみにその議員は77才です。70代のお若い方が、判らない、不愉快だ。です。私のような80代の年寄りには一層判らない、不愉快だ。です。お役人の「お前この程度のことを知らないの?」の態度にひるまず、臆さずの勇気ある?!姿勢です。お役人も立派です。議員様の、要望、要求を無視してしまったようです。若しかして、このお役人は観光庁あたりからの天下りか、出向者なのかもしれません。やむを得ない所業です。県議ごときなどはと見下しています。

俺は知らない、聞いてない。理解できない、判らない。己の不勉強を棚に上げ、他人様の言い分に耳を貸さないのは宜しくありません。逃げです。卑怯です。そう言われそうです。勉強、勉強。

本屋で見つけました。

PHP文庫の“超訳「カタカナ語」事典”です。さぁ、勉強、勉強。

飾り表紙とでも言うのでしょうか、本を少し固めの紙で覆ったものです。そこに本の題名を取り囲んでカタカナ語の見本が描かれています。

「コンテンポラリー」「モジュール」「トリビュート」「スキーム」「ガバナンス」「レジュメ」「アセスメント」「アジェンダ」「ビストロ」「オルタナティブ」「リテラシー」「プロトコル」

文字順が合っていますか?横目で見ながら写しています。大丈夫でしょうか。

聞いたことがありますか?知っていますか?判りますか?腑に落ちますか?

本文を開くと最初の言葉は「アーキテクチャー」で最後は「ロコモ」です。白状します。途中、それもさほど進まずに「ギブアップ」しました。因みに「ギブアップ」などという私でも使えるカタカナ語は掲載されていません。

何故「ギブアップ」したか。

聞いたことあるなぁ。あぁそういうことか。なるほどナ。ホー、知らなかった。・・・・。少し読み進むと、イケマセン。・・・さっきのあの言葉は何だったヶ?あぁそうか。・・・。イケマセン。・・・・。

低容量の頭脳には混乱だけが蓄積します。要「デフラグ」状態になります。諦めました。情けない限りと思いましたが、ひょいと開いた頁で気を取り直すことが出来ました。

「ワルツ」「マーチ」「シンフォニー」「コンチェルト」・・・・・「ロンド」。

全部腑に落ちました。しかし、人様に説明しろと言われても出来ません。「円舞曲」、「行進曲」の方が判りやすいとは思いますが、「ワルツ」「マーチ」で違和感はありません。基本的には慣れの問題でしょう。年寄は多くのカタカナ語に不慣れです。

気を取り直すことは出来ましたが、気に入らない点は残ったままです。当時「ワルツ」には「ワルツ」本体も日本語もありませんでした。舶来品です。だからそのまま「ワルツ」でも好いし、円舞曲という見事な訳語も好いと思います。

「ロックダウン」はもちろん言葉はありませんでした。これは舶来品です。但し、本体は日本にありました。江戸時代まで遡れば、関所を通るには手形が要りました。もっと狭い範囲では、江戸の町は夜間四つ時過ぎには木戸が閉められ、町内への出入りすら儘になりませんでした。単語も、都市封鎖という日本語があります。わざわざ、外国語訳をする必要はありません。日本人に話し、知らせるのに分かる日本語をわざわざ判らない外国語に訳して意味があろう筈がありません。

非常事態宣言が出ても巣鴨の商店街は賑わっているとか。知事の使った、判らないカタカナ語では身にしみない証かと思います。

知事だけを責めるのはイケマセン。

「ステイホーム」「ソーシャルディスタンス」だそうです。

国の緊急事態宣言に伴い、要望されました。都に止まらず国もです。

「ステイホーム」じゃぁソファとベッドが無いと出来そうもありません。家は畳に布団を敷いているョです。なるべく家から出ないでネではいけませんか。「ソーシャルディスタンス」てぇのは上級国民と下級国民は格差をつける。又は差がつく。イヤミたらたらの、言い掛りです。ニューヨークではブロンクス、クィーンズの発症者、死者が圧倒的に多いようです。名の通った地区です。「ソーシャルディスタンス」が馬鹿でかく、一番離れた人々が住んでいるようです。

コロナに関連しても、かくも多くのカタカナ語が使われています。

起源説から言えば、カタカナではなく漢字が最適かと思いますが、若しかして米軍関係者が持ち込んだ説に忖度してか、カタカナが使われています。

「コロナ」などとカタカナではなく、「武漢」と漢字表記した方が腑に落ちます。



それでは小噺を一つ。



執行猶予



 オレオレ詐欺などで世間を誑かし、億の金を稼いだ男が身罷った。

閻魔「その方、俺だとか還付だとかいい加減な嘘を言って世界を誑かした。誠にもって不届き千万。よって、有罪。舌抜きの刑に処する」

テド「有罪?!舌抜き?!私は嘘など言っておりません」

閻魔「黙れ、黙れ!この期に及んでまで嘘をつくでない。罪状明白!言訳無用。・・・但し、執行を猶予する」

閻魔大王はそれだけ言うとそそくさと退廷した。

男「は?・・執行猶予ですか。助かった。ところでどうして執行猶予で?」

男は書記官の司命に尋ねた。

司命「困ったことじゃて。この所、閻魔大王様は濃厚接触を嫌って、舌を抜くことをやらないんじゃ」

20205.)