はじめに

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2017年10月6日金曜日

不倫

不倫  

やっただろう やっていません
 しただろう したじゃぁないわよ わたしゃうえ
 
不倫のお話が、世の中をにぎわしている。
一方では「ならず者」と言い、「完全に破壊する」、「超強硬対応」などという物騒な言葉が飛びかい、言葉だけでなくミサイルまでが飛んでいる。ミサイルは飛んで行っただけだが、飛行機の部品やら、石材が上空から降ってくるので、上を向いて歩かないといけない状況にある。
 上を見てばかりいる国民を落ち着かせようとするのか、下を向け、下に気をつけろとマスコミは騒ぎたてている。下のお話しである。それも下々の話ではなく、国会議員や名だたる?芸人などの下ネタである、不倫話だ。
 記者会見でのやり取りがきわどい。
・・なにをされていたの?
「一線を越えてはいません」
「男女の関係はありません」
若者言葉とか、IT用語が今一つ判らないのと、どこぞの知事さんのカタカナ語の如き似非日本語など判らない言葉に加えて、昔ながらの婉曲的表現で苛立たせる言葉が世に充ちている。
「貴方はあの男と一発やったのですか」
「いいえ、一発はやっておりません。週四回です」
この位なら判りやすいのだが、男女の関係とか一線などと言われるとコソバユクていけない。
「♫テトテトアシトアシトテトアシトオヘソトオヘヲスリアワセコンナイイコトナニワルイ・・♫の方は如何でしたか?」
と質問してほしい。
不倫話の大部分は週刊文春という雑誌が源泉らしい。文芸春秋といえば、天下の上級雑誌である。その会社が出している週刊誌が、こういった記事を掲載し、それに便乗してTVでも各局一斉に放送している。一流出版社がカストリ雑誌を出しているという風情で、TV会社はジェネリック薬品を作っているといったところだ。源泉かけ流しではなく、源泉垂れ流しだ。
何故かしら、寅さんの啖呵売の文句を思い出す。
「一流デパート白木屋、黒木屋さんで、紅白粉のお姉さんに・・・・・500円でいかがですか。500円!」
 ところで不倫というやつは、そんなに悪いことだろうか。ズラリと並んだ記者の前で、深々と頭を下げ、「このたびはご迷惑をおかけし、まことに申し訳なく・・・」とやっている。
これが判らない。納得がいかない。
一体、誰に謝っているのか。記者か?視聴者か?どちらにしろ、誰も迷惑なんぞは受けていない。時には低頭している時間を計られ、短いと怪しからんと批判、叱責をうける。レスリングの浜口さんは「気合だ!気合だ!・・キアイダ!・・・」と雄叫びを上げる時、指折り数えている。TV会見の時低頭している人は「ヒノ、フノ、ミノ・・・今何刻ダイ?・・」をやっているのかもしれない。低頭ついでに舌の一つも出してみたら面白いのだが、後ろから隠し撮りされて駄目だろうか。舌が駄目ならいっそのこと下を出したら。こちらは間違いなく犯罪だ。わいせつ物陳列で現行犯逮捕される。不倫で迷惑、損害を与え、謝るべき相手は、自分の連れ合いと相手の連れ合いだけで十分だろう。
「♫ムカシムカシノカミサマガオシエタマイシコトナレバナンデマネシテワルカロウ、ホラ・・♫」
と応じてもらいたいものだ。
 不倫が多いのは上流階層、金持ちという説がある。どうやって統計を取ったのだろうか。
その昔、何かで読んだ記憶がある。もしかしたら文芸春秋かもしれない。対談だ。演歌歌手、村田英雄に関するごくまじめなエピソードとして紹介されていた。彼の男っぷり、豪快さを表現するためで、決して貶めるものではない。
対談で語った人は、村田と東京タワーに上った。その時村田が自慢したそうだ。
「見てみろ、あそこ、・・・それと、こっち。ここから見える所に女を三人住まわせている」
東京タワーに上るだけでも金がいる。見える所に家を三軒持つなんぞは想像もつかない。そこに女性を住まわせる。住んでいるだけでは済むまい。それぞれに顔を出し、ご機嫌を伺い、その他諸々、それなりのことをしなくてはいけない。
これほどに派手やか、大ごとでなくとも無理筋だ。統計があろうとなかろうと、不倫が多いのは上層階級、金持ちだは納得できる説だ。
私の如き下層階級、貧乏人はお相手してくださる方からお願がかかる気遣いも無い。無理というより、不可能なことだが、お願がかからないでイタしたりしようものなら、記者団に囲まれることは無くても「お前、やったな!・・キリキリ白状いたせ!」お巡りさんに囲まれてしまう。
 お巡りさんといえば、この記事を書いた側の人は、関係ないのだろうか。法律に触れてはいないだろうか。
「・・今チョメチョメさんと逢われてましたヨね」
ホテルを出たあたりで、マイクを突き付けられる。ご苦労様だけど、記者は必要な時間+αで張っていたんだろう。張っている間に何か変な想像をして、張って来たかもなどと思うのは下司の勘繰りというものだ。彼らは使命に燃えて、職業魂で待ち続けていたに違いない。どういう使命があるのだろうか。金儲けだろうな。一番理解出来る理由だ。長時間張るための準備として、標的となる人物をつけまわしていたのだろう。これはストーカー行為だ。写真は盗撮だ。標的がホテルの中で何かしら致している。致していることはエロかテロか。どちらにしろ、致したことは世間に広く知らせなくてはいけない。していると期待しているのは、テロの相談、準備などではない。それを公にする。張り込み側が法律を犯しているのではないか。私が、見ず知らずでも、知っている人でもいいが、女男にかかわらず暇にまかせてつけ回し、写真に撮ったり、何をしていたかなどと聞いたりしようものなら、間違いなくしょっ引かれると思う。文春の記者様は007よろしく、覗きのライセンスでも持っているのか。山尾さん、この度の選挙で落選したら、文春をストーカーで告発しては如何か。
 山尾さんの場合は党を離脱しただけだ。議員を辞めたわけではない。収入も変わらないだろう。芸能人ではベッキーさんを始め、結構多くの人がコマーシャル等々、TV出演が困難になっているという。職を失い、経済的制裁を受けている。これなんぞは威力業務妨害の典型ではないか。こちらの方は実害がある。当人たちも警察も、訴えたとか事情聴取したという気配が無い。
法律に触れているかどうかはさて置いて、このところの流行りの差別とやらは大丈夫だろうか。
不倫なるものをした方々は、平均的な人より少しばかり性欲が強いだけではないか。一人では飽き足らずに複数の異性と交わりたい欲求が強いのだ。世の中には性にかかわる幅広い嗜好性があるとされている。中には同性にのみ関心を持つ人もいる。略語?でLGBTと表記するらしい。昔々の神様が教えたまいし方法とは違うが、信長と蘭丸の如き例示は枚挙に暇なしである。それが曲がったことと思う人がいたりもした。今現在はLGBTの人を変に言ったり、見たりすると怪しからんとされる。差別主義者と批判される。不倫好きというか、なるべく多くの異性といたしたいという人がいて何の不思議があるのだろうか。不倫でしか駄目だという人もいるやもしれない。嗜好性の一つだ。少し平均的な、乃至は多数の人と違うだけではないか。これを非難したり、やり玉に挙げたりするのは差別だ。
もしかしたらの思いもある。実はこの不倫好きの人達は、世の中の平均値、乃至は多数と違わないのではないか。総じて同じなのではないか。これを報じる雑誌が売れ、TV番組の視聴率が上がる。それは多くの人々が、己の道徳律と違うことに批判があってのことではない。同じ穴の狢なのではないか。自分自身を考えて、同意を逃れられない。
「あの野郎!巧くやりゃぁがって!悔しくてたまらない。コンチクショウ!!自分にゃあんないいことをやるだけの金も力も地位もない。くやしい・ィィィィ・・・。そらバレタ。馬ァ鹿ァ!ザマぁみろ。叩きまくられて、平身低頭。なんと痛快!ウシシシシ…」
何の利害関係もないのに雑誌が売れ、TVの視聴率が上がるのは、人々の妬みを利用しているのだ。差別などではない。
週刊誌が下に注視して記事を載せる。TVがコピペする。日本も捨てたものではない。多くの人が下ネタ好きだから、この手の記事で雑誌が売れるのだろう。多少は少子化対策になるかもしれない。しかし、下ばかり見ていると危ない。上は危ないものが飛び交っている。もう少し安全だったように記憶している時代でも、「上を向いて歩こう」という唄がおおいに流行していた。

それでは小噺を一つ。

経済制裁

朝鮮人民共和国の高官イ・ソレガシの家内で夫婦が揉めていた。
妻「どういうことですか。不倫なんぞは許されません」
夫「いや、その僕は別に・・あの、その」
妻「不倫をしただけでもダメなのに、子供まで出来たということで。とんでもありません」
夫「いや、その僕は別に・・あの、その。不倫は認めるが、子供が出来たのは俺の所為ではない」
妻「どういうことですか。全然説明にも、言い訳にもなっていません」
夫「いや、その僕は別に・・あの、その。・・・現下の情勢を考えなさい」
妻「情勢?」
夫「大きな声では言えないが、経済制裁を受けて多くの物資が調達困難になっている」
妻「・・・?」
夫「贅沢品ということで、日本製品の入手は我々でも無理なんだ」
妻「日本製?」
夫「そう!極薄で品質の良いコンドームが手に入らない」
妻「それで?」
夫「手に入らないから、使えない。使えないから出来てしまった」
妻「!?」
夫「制裁に向き合わず、それをどうこう言うのは・・。国難に当たって愛国心が欠けていると言われても仕方が無いではないか!」


(2017.10