はじめに

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2017年8月6日日曜日

夫天地者

夫天地者 
 
夫天地者近平之逆旅  全員者百代之過失
                  自白序文

お久しぶりです。すっかりご無沙汰しておりました。アルカイナでございます。いえ、いえ。前にも申し上げましたが、アルカイダではありません。そんなことアルカイナのアルカイナです。
ここだけのお話でございます。実は殆ど全世界が、かの超大国の手に堕ちようとしております。最上級の支配層の方々は承知しておりますが、殆どの人は知らないことです。暫く他言無用に願います。
その昔、その大国が世界を支配していた時代がありました。その時は、自分たちが世界を支配していると思い込んでいましたが、実際にはアジアの大部分ということで、地球の四半分にも及ばない程度でした。しかしながら、彼らは世界の中心にあり、周りは野蛮国で付き従うものとしていました。それらの国々には見下した名前をつけていました。支配下にはありませんでしたが、我が国を邪馬台国と呼び、統治者の名は卑弥呼としていました。邪、卑というような文字を使って、堂々と差別し、蔑視していたのです。今使っている“小日本”などと言う可愛い名前ではありません。邪悪に充ち満ちた言葉です。蔑視です。
さて今日ただ今のことです。一帯一路などの世界戦略が見事にはまり、超大国、中国の夢がかなったというものです。世界制覇を遂げ、少しばかり夢の中にこの手法、他国のリーダーを蔑称で呼び、己の偉大さを全人民とともに満喫しようと考えました。どのようなことか、説明いたします。
世界に覇をなしたことを宣言すべく、超大国は準備として、すでに各国に漢字の使用を要請しています。あわせて、首脳の名前も漢字表記することを義務付けたのです。勿論、ルールに基づいて自主的に決めるなどということは許されません。こうしろと言われた通りのことを自ら実施したようにするだけです。逆らえば蛇口が絞められます。蛇口です。喉首を絞めるなど乱暴なことはいたしません。勿論以前から使われていたものです。金です。金印です。今からご紹介する、各国首脳の金ヅルです。ここを握って世界を制覇したのです。勿論武力や財力で押さえつけられる国にはそれを使いましたが、並行して各個撃破で首脳のクビ、首根っこを押さえたのです。その上で、身の安泰を保証し名を授けようというわけです。漢委奴国王印に似た印と伴に「命名書」を添えようという次第です。それに漢字名を使うのです。
先ずはアメリカです。
アメリカの大統領トランプは“徒乱舞”としました。
いたずらに、撥ねっ返り踊り狂っているだけだという意味です。踊りの場合、それがいかに派手やかであろうとも、激しく、加えて下手くそであろうとも、傍にいる者には迷惑千万ではありますが、やらせておけばいいのです。自分はいっぱしの踊り手だとか、大向こうを唸らせていると思い込んでいても、適当に拍手の一つもしてやれば事足ります。近所がうるさい、迷惑だと騒ぎだしたら、少し手を貸せばいいのです。時に“グレート”位の声かけをしておけば御の字です。踊りに気取られ、騙されても気付くのに時間が必要です。
大西洋を渡っての島国、イギリスです。
メイ首相は簡単です。“迷”の一文字で沢山です。それ以上は文字の無駄遣いというものです。
仲間でいるとロクなことが無いというので、EUから脱出を図りました。その気ではなかった前任者が、国が出るなら俺も出ると家を出て行ってしまいました。残された家族も家を出ることにしたものの、家財道具を確保したり、その後の暮らしのありようについて話をつけなくてはなりません。国内では結束して、事に当ろうと用も無い選挙までやってみましたが、国民も思ったほど協力してくれそうもありません。すっかり当てが外れて、今さら引き返すにも引き返すことが出来ず困ったなぁの状態です。迷っています。参っています。“迷”です。
その“迷”の主な交渉相手はドイツでした。
ドイツのメルケル首相は“滅入蹴”です。
世界に冠たる・・。元へ! EUに冠たるドイツです。二次予選で完膚無きまでに叩きのめされましたが、見事な敗者復活を遂げています。財力、政治力を駆使してヨーロッパを束ね、栄えています。EUの盟主です。何処の国でもそうですが、ある範囲では間違いなく集中が起こります。経済成長が続けば見逃されてきますが、鈍化すると問題が大きくなります。日本で言えば、東京一極集中です。地方は過疎となります。東京の稼ぎを地方に分配しても、デモが起こったりして騒ぎが広がることはないようです。国が一つですから、都民ファーストなどという知事さまも地方に工場をつくるナ、東京につくれなどとは間違っても言いません。東京の稼ぎを右から左へとやっても、一旦止まって考えることもしません。しかしEUではドイツやイギリスが稼いだお金をギリシャに使えば、文句が出て当然です。しかしEUの稼ぎがドイツに沢山流れ、ギリシャにはおこぼれ程度なのは、経済現象というより物理現象です。困ったことに、EUの大国には金だけでなく多くの難民まで流れ込んできました。それは我慢するとして、イギリスの離脱騒ぎやテロ騒動には大いに滅入っております。しかし彼女は強いので、そんなものは蹴っ飛ばして進みそうです。
 もう一つのEU内の大国はフランスです。
 フランスのマクロン大統領は“真苦労”です。立場としては“滅入蹴”の次に叙せられます。若さが売り物です。残念ながら、若さのゆえに経験が浅く、並みいる海千山千に打ち勝てるかどうか、期待半分不安半分です。すぐ東の大国の“滅入蹴”には、歳上の女性を御する術を長年にわたって訓練し、習得しており大丈夫でしょうが、もう少し東の大国ロシアには本当に苦労が絶えません。更に更に東の超大国に至っては、下手に反抗姿勢を見せようものなら、爆買い観光客の制限を課せられるなど、いとも簡単に報復処置を施されそうで、なるべく黙っているよりほかありません。“真苦労”です。
 “真苦労”や “滅入蹴”が対峙している東の国、ロシアです。
プーチン大統領は“不沈”です。
不沈戦艦、不沈空母など、沈まないのです。宿敵どもを撃ち落とし、時には一服盛って沈めてきました。彼自身は沈んだりしません。沈まない代わりに、世界では経済封鎖などされて、浮いているとされています。正確には“真苦労”や “滅入蹴”と対峙しているのではなく、相手はNATOですから、大元はアメリカでした。ここは一番直接手を出すべし。さすがKGB。“徒乱舞”の舞に紛れ込んで、巧くやりました。一緒に踊りながら、向う脛を蹴飛ばしました。ヒラリとかわされたかと思った瞬間、向こうがコケました。シメタ。巧くやったと思いましたが、“徒乱舞”の踊りがへたくそ過ぎてバレそうです。やりそこなったかなとは思っています。“不沈”の所為ではありません。相手が政治の素人だったということが、誤算だったようです。でも“徒乱舞”が踊りのステップを間違えて、躓くようなことがあっても、“不沈”に事が及ぶ気遣いなんぞはありません。次回選挙も“徒乱舞”はこけても“不沈”は大丈夫です。元又は現KGBとしての実力は揺るぎも無く、右に出るものは一人としていません。
 一番超大国に近い国はどうでしょうか。
 先ずは直接のお隣、北朝鮮です。
キム委員長は“気無情”です。気まぐれで、人民へは情の欠片もありません。しかし、世界の首脳の中でも一番偉い人です。自国の人民がひれ伏し従うのは勿論のこととして、世界の首脳が格好をつけて口先では非難しますが、やれるものならやってみろとケツをまくられると、おケツの臭いに辟易とするのか、手も足も出ません。せめて紙ぐらい出そうと、韓国から差し入れの用意があるといっても、知らぬ顔です。“気無情”は人民と同じトイレでは用を足せないそうです。ミサイルをうつのは得意でもキジをうつのはかなり難しいようです。変なところで紙を出されても困ります。
 その韓国は如何でしょうか。
ムンジェインは“無理強”です。北に向けて話し合いをしよう、話し合いをしようと声をかけております。迷惑なんじゃありませんか。話もしたくないのに無理強いされても、返事のしようがありません。“無理強”も北に無視されて寂しいのか、南を向いて、日本とも話し合いをしようといっています。ところが日本も話は付いている、蒸し返されても知らんと、これまた好い返事はしません。どちらも無理筋なんでしょうか。国民の支持率は80%を超えているそうです。アメリカの大統領や日本の首相の倍以上です。もっと強く押して、押しまくれる立ち位置です。駄目ですか。隣の超大国の主席は100%でしょう。そりゃあ敵いません。お隣だけ気にかけておけばいいのだから、頑張りましょう。
さてと、日本が残っていました。
安倍総理大臣は“痾疲”です。
なんとまぁ、難しい漢字です。もしかしたら、ご当人は読めないかもしれません。勿論アソー副総理には無理というものです。“アビ”という発音ですが、少しばかり訛って下さい。読める人も支持率も30%切ってるとか、いないとか、・・。頭が痛いことです。頭痛だけでなく、潰瘍性大腸炎で腹具合が悪いとか腹黒いのではなど、印象操作が行われています。そばの食べ過ぎだという噂もあります。モリ、カケそばを喰い過ぎたとされています。モリにしろ、カケにしろ蕎麦の一杯や二杯で腹具合が悪くなるようでは困ります。本人は喰っていないというのに、野党からはヤイノヤイノと攻め立てられています。その昔、吉田茂は人を食ったと自称して、記者の取材を煙に巻いていました。“痾疲”さんも、集中審議とかで質問されたら、時そばよろしく「イマナントッキイタィ?」位の応答をしては如何なものかと・・。

全世界が手中に堕ちたとは言え、未だ世界の人々がそれを知ったり、気づこうとしていないのにアルカイナ、お前は何故知っているのか。今流行りのフェイクニュースに違いあるまい。ご尤もな質問です。言い質問ですネエです。
私、アルカイナは超大国の下請けもしております。正確には、しておりました。主席様から直々に世界の首脳の漢字名を考え、提案するようにと依頼を受けたのです。ですから、今まで紹介、説明をしてきた内容は私が作成し、提示たものです。したがって、超大国上層部数人と私アルカイナしか知りません。
 実は今、私は某所に息をひそめ隠れています。身の危険をひしひしと感じています。
各国の首脳の漢字名を提案した時に、我が国の核心についてはどうかと御下問を頂きました。漢字で習近平という立派なものがあるのにどうしてと尋ねたところ、お前の実力を知るためだと言われました。ここで秀作を示せば、この度の仕事が更に高額で買い取られるであろうと期待しました。私、アルカイナは真剣に考え“臭金糞兵”は如何かと提案しました。各国首脳には、なるべく汚く、気分を損ねるものを考えました。これにならって考えた結果です。勿論趣旨も説明しました。主席様と人民の方々が、世界にばら撒き垂れ流しているものでございます。金が付いているので耐え難きを耐えていますが、世界中が嫌がっております。言ってしまってから反省しました。私少しばかり口の軽いところがあります。ハタと気が付きました。手遅れでした。誤解を招いたとすれば真に遺憾です。取り消しの上、謹んでお詫びいたします。深々と頭を垂れ、心からそう申し上げたのですが、駄目でした。国家転覆煽動罪だとか言われました。国はとにかくとして、肥桶をひっくり返してしまいました。“臭金糞兵”です。
世界中があの国の影響下にあります。あの国の法律が私にも適用されるらしいのです。逃げなくてはなりません。殺されないまでも、一生牢屋に入れられ、病気になろうと死にかかろうと、いたぶられます。なんとか逃げ延びたいと思っております。お助けください。

それでは小噺を一つ。

中国旅行

 旅行社へ一人の老人がやってきた。社員が色々なパンフレットを見せながら、中国旅行を勧めた。
社「如何ですか。桂林、兵馬俑、万里の長城。素晴らしい旅行先が取りそろえてございます」
老「有名だから名前は知っている。興味はあるし、一度行ってみたいものだ。でもなぁ・・・」
社「何か問題がおありで?今ですと費用の方もお得な特別割引もございます」
老「だがなぁ・・。わしゃあ言葉が、その・・中国語はシェシェしか判らんし・・」
社「お客様、心配御無用です。ガイドが付いておりますから、何の心配もございません」
老「そうか。でもなぁ・・」
社「まだ何か?」
老「反日デモで、身の危険とか嫌な気分になるのでは?」
社「今は下火で、滅多にありません。ガイドがそのような場所にはいきません」
老「デモはそうとして、この頃日本人がスパイ容疑で何人も逮捕され、返してもらえないという話が・・・」
社「あれは、特別な場所での出来事で、観光地では・・。ガイドの言うことに従っていただきさえすれば、何の問題もありません」
老「まぁなぁ。そうかもしれん。ところで・・ワシはトイレが近いんだが大丈夫かナ?近頃下痢気味で・・心配だ」
社「大丈夫です。全てガイドが面倒みてくれます」
老「トイレまでガイドか?!向き合ってやるという話を聞いたが、やはりガイドと・・・?!」
(2017.8)