はじめに

●●●

2019年1月1日火曜日

亥の一番


亥の一番 

 亥の一番皆気がつく干支駄洒落

眼がつかれ義眼で記録を直したが

要領悪くてお寺行き



明けましておめでとうございます。

年始のご挨拶に毎度お世話になっております八っぁんの家に隠居がやって参りました。

隠「のんびりと年が明けたようで。おめでとうございます」

八「おぉ。これは、これはご隠居。おめでとうございます。今伺おうかと思っていたところです。何ですか、そちらからお出かけとは、恐れ入ります」

隠「今年は亥年で、前に進むしか能が無いようなので、出向いたという次第だ」

八「さいですか。・・でも何か魂胆があるんじゃぁ」

隠「ある、ある。大あり名古屋だ」

八「そうでしょう。猪は前に進むしかなんぞ言ってますが、急ブレーキ急発進、直前回転なんか得意だそうですよ」

隠「有り体に言えば、猪の話が無いのだ」

八「あっしが、干支の話をやれというのに先手を打ってきたんですかぃ」

隠「当たり!大当たり。春から縁起がいいワイ」

八「なんか、さっきから誤魔化そう誤魔化そうと・・」

隠「考えてはみたんだが、我が国には猪の話は無さそうだ」

八「お言葉を返すようで何ですが、外国ならあるんで?」

隠「・・、無いことは無い」

八「どこの国の話で?」

隠「お隣、中国だ」

八「何かありましたか?」

隠「西遊記の中に猪八戒というのが出てくる」

八「でも、あいつは主役じゃあありませんぜ。孫悟空が主役でしょう」

隠「だからなぁ」

八「まぁまぁ、出方によっては許しますよ。こうやってそちらから出向いてきたことだし」

隠「優しいねぇ。今年もよろしくお付き合い下さい。じゃあ・・」

八「お、もうお帰りで。折角来たんだから、適当に見繕って話をして行きなさいヨ」

隠「優しさついでの話ならやるかな。岐阜でトンコレラが流行って、何頭もの猪が犠牲になっている」

八「可哀相ですね。あれは不思議ですね。猪が隣の三重や愛知には来てないんですか」

隠「言われてみればごもっともなことだ。でも、こないだ一、二頭ばかり愛知に来たらしい。まぁ、行儀がいいんだね、なるべく本家の豚には迷惑がかからないようにしている」

八「行儀がいい?悪いと移るんで?」

隠「そう言われると言いにくい。行儀との因果関係は知らないが、お隣の大国では、アフリカトンコレラがかなり流行しているということだ」

八「猪もですか?」

隠「知らん」

八「知らないくせに・・・」

隠「知らんが、猪で思い出した。似たような顔つきの人は大分困っているようだよ」

八「どなたで?」」

隠「キンピラさんだ」

八「あの一番偉い人で?そういえば似ているかなぁ」

隠「絶対似てる。あの仏頂面を見た時、何かに似ていると思ったんだ」

八「そう言えば、昔は泳げまいと思っていた猪が、最近では海を泳いで、あっちこっちへ出かけているそうで。だから似てるって言いたいんじゃあないですか」

隠「海どころか月まで飛んだそうだ。それも裏側だ。亥の一番だヨ」

八「で、何をお困りで?」

隠「ワシントンのトラさんが怒っちまった」

八「ナンデ?」

隠「虎も蠅も叩き潰すって大見得切られたからだ」

八「ご隠居、お言葉ですが、それはもう何年か前のことですよ」

隠「当時は、虎がトラだとは思いもよらなかったんだ」

八「どうして気付いたのですか」

隠「虎だとか、トラさんだとかは日本語だよ。日本人でなくちゃあ判らない。ごシンゾさんがトラさんでも判るように、懇切丁寧に説明したに違いない」

八「サスガー。最近の日本も外交上手、謀略上手になったもので」

隠「手練手管をしっかり学んでいる」

八「何処で?誰から学んだんですか」

隠「前に告げ口外交ってぇのでいたぶられただろう。ごシンゾさんの偉いところだ。ちゃんと学習した」

八「アキレタ解説で、トラさんが怒っちまった」

隠「アキレタ・・?」

八「イケガミ・・。マエガミ薄いイケガミ・・」

隠「あぁ、あの解説か。立派な解説者をそのように言ってはいかん」

八「イケませんか?」

隠「・・・。とにかくトラさんは怒った・何が亥の一番だ。アメリカファーストだ。虎退治なんぞユルサン!」

八「間違ってたら御免なさいヨ。本当は5Gとかで都合が悪いのを、トラさんに虎退治を思い出させて怒らせて、貿易赤字に引っかけて・・」

隠「それもアキレタ解説の受け売りか?虎退治はトラさんのトラウマになっている」

八「虎が馬になっているんで?ずいぶんトラえどころの無い、ウマくない解説ですね」

隠「無理かなぁ」

八「ところで5Gって何ですか」

隠「知らん。よく判らん。この手の用語にはついて行けない。IEだと何だとか判らん英語をさらに略すからいよいよいけない。」

八「老人性言語障害でしょ?それを棚に上げて人の所為にする。年寄りは扱いにくい」

隠「済みません。お許しを。でもニュースで5Gと聞いたとき、てっきりなんかメモリーの容量のことだと思った」

八「メモリーだとか容量だとか、結構言うじゃあないですか」

隠「オホン!容量はキロの時代から付き合いがある。今じゃあメガ、ギガを通り越して、仏教徒でなくてもテラを使うご時世だとか」 

八「Gってのはギガで?ご隠居の古い付き合いキロはKで?」

隠「うん」 

八「テレビではこの頃4Kだとか8Kだとか言ってますヨ」

隠「うん」 

八「ご隠居並みに遅れているんですね」

隠「そう、遅れてる。・・ウンにゃテレビのKは違うみたいだ」 

八「判らん話で誤魔化すのは得意とするところで・・」

隠「そう、困ったもんだ。KKだが、たかが5Gで何騒いでるんだ。俺でも32GUSBを持ってるぞ!日本じゃあ担当大臣でも使ってない代物だけど、5Gがなんで世界最先端かと思った」 

八「USBじゃぁないんで?」

隠「どうやら5世代目と言うことのようだ。そのGでキンピラさんのところが最先端を行き、亥の一番になりそうだ。スマホなんぞも亥の一番を目指して猛進しているそうだ」

八「5Gとどう関わっているのか判りませんが、スマホなんぞは昔からあの国にはありましたヨ・・知りませんか?」

隠「・・・?」

八「ディックミネの唄に“♬ 夢のスマホかホンキュウの街か・・♬”ってのがあります。当時、上海じゃぁ唄の文句にまでなっていたんですヨ」

隠「???・・、ディックミネ、・・古いな。・・ウン?もしかして、夜霧のブルースか。それなら“♬夢のスマホ・・・”じゃなくて、スマロだ。そっちの方が無理筋だ」

八「さいで。ハッハァ・・・そいつはスマホのまがい物だったんだ。ヘヘヘ・・」

隠「今じゃぁ、まがい物どころの騒ぎじゃ無い。5Gを抑えられると大変なことになるらしい」

八「世の中がひっくり返りそうな話ですか」

隠「そうなんだ。猪八戒になる」

八「・・・??」

隠「超ヤッカイになる!」



少しばかりやっかいな年始めになるのかもしれません。改元でやっかい払いも出来ましょう。今年もよろしくお付き合いの程を。テケテンテンテン・・・・テン・。



(2019.1)