みから出た錆
加齢とか高齢だとかの辞令を貰い
馬齢重ねて歳新たまり
竜頭蛇尾、蛇足、巳から出た錆び。どうも蛇というのは好いことには使われていないようでございます。錆びは巳ではなくて身だと仰せですか。まともなお話じゃありません。お固いことはご勘弁のほどをお願いいたします。なんせ、外題を「みから出た錆」としておりますので、ここで引っ込んでしまうと、年初から扱けるというみっともないことになってしまいます。その巳年が過ぎ、目出度くも今年は午年です。おまけに「きのえうま」です。「ひのえうま」ですと女の子が生まれるとどうのこうのと、お励みなさらない方が増えるとかで、よろしくないようです。今年は「きのえ」ですから、どうぞご心配なく、我が国の益々の繁栄のためにも、お励みいただきたいものです。
ということで、素晴らしい新年を迎えるに当たり、昨年蛇尾で終わった、みから錆びを出してしまった人々をお慰めし、払い清めたいと思う次第です。勿論お慰めするのですから、世間での評判とは違い、より本人寄りの真っ当な筋立てでございます。
先ずは「いのせなおき」さんです。貸金庫の中に長くいれていたおカネが錆びたようです。
なんでも5千万円というお金を借りしたんだそうで。貸したお方が選挙違反容疑で取り調べを受け、その余波で貸し方より借り方の方が先にお辞めになってしまいました。どうやら相手が悪かったらしく、とんだ迷惑なことでした。
「いのせ」さんをテレビで見ていて、不思議な気がいたしました。説明がよく判らないのです。彼は小説家だというじゃありませんか。それもノンフィクション作家だそうで。本当はノンフィクションではなく、推理小説作家ではありませんか。議会などの説明から謎解きをしようとしましたが、かなり難解な筋書きに終始しました。おまけに知事職を「起承転結」の「起・」位で辞めてしまいました。ですから内容を推し量るのが極めて難しいのですが、あえて、彼の組み立てたお噺を、私なりに推理してみたしだいです。
まず、5千万円のお金は選挙資金として借りたものです。選挙の「収支報告書」なるものに記載が無いとのことですが、結果として選挙に使わなかったのだから、「収支報告」すべきことではないと思う次第です。選挙資金が底をつき、足りなくなったらそれを使おうと思っていたのです。非常用です。緊急用です。ですから、貸金庫に保管し、いざという時に備えたのです。幸いにして、いざという時がありませんでした。選挙のために準備はしましたが、選挙にはビタ一文使っておりません。公職選挙法に反しますか。泥棒をしようと頬っ被りをしただけでは窃盗罪にはならないでしょう。
都条例では、職員は都の利害関係者からお金を貰ったり、借りたりしてはいけないようです。「いのせ」さんは副知事だったのでこれに引っ掛かるそうです。副知事よりはるかに地位の低い人が、利害関係者からなにがしかのお金を借りて、クビになりました。酷いですね。この条例には無理があります。公序良俗に反する条例です。理由は簡単です。これだと都の職員は車や家を建てようにもお金を借りられません。黒社会の人たちと同じ扱いじゃあありませんか。銀行に住宅ローンをお願いしようにも、都内にある銀行で、東京都と利害関係のない銀行がありましょうか。親から借りようとしても、その親が都のゴミ収集でもやっていたら駄目ですね。公報配りのアルバイトでも関係者です。都職員に対する人種差別に近く、公序良俗に反する条例です。それで処分されるのは困ったことです。
選挙で使う必要が生じなかったなら、選挙の後すぐにお金を返さなかったのかですか。簡単です。忘れていたのです。
私は昨年末に高齢者講習会なるものを受けました。16枚の絵を見せられ、覚えていたものを書きだすテストがありました。見せられて書く間に数字をコチョコチョやる妨害工作がありました。私は9個しか書けませんでした。それで評価は問題なしです。公のテストでもかなりの事を忘れることが許されるのです。「いのせ」さんは徳州会が事件を起こしたことで5千万円を思い出しました。大金のことを忘れるのか。忘れていても不思議はないと思います。あの大国のブログに載っていたそうです。「日本では都知事が借りた5千万円の金でゴタついているようだ。さすが小日本。騒ぐなら、5千億円とは言わないまでも、せめて5百億円くらいにしてほしい。我中国は大国だ。都知事よりコマイ市長クラスでも億単位の何やらを得ている。東京も早いところ自治区になっていたらこんな目に合わずに済んだのだ」
我々日本人、それも私たちのようなビンボー人は金銭感覚がおかしいのです。
「いのせ」さんの金銭感覚は確かです。都議会で5千万円の札束をかばんに入れるテストをやっておりました。議員の方はうまく入れられませんでしたが、「いのせ」さんは無理やりとはいえ鞄に収めました。チャックが完全に閉まらなかったのは、擬した物が札束より硬かったか、包み紙が厚かった程度のことです。それより何より、あの鞄に5千万円入れたという主張です。私なんぞは5千万円がどの程度の嵩なのか、重さなのか見当もつきません。彼はそれが自分の持っている鞄に入り、持ち運びができると証言しました。やっていなければ言えないことです。金銭感覚は確かです。
「いのせ」さんのつぶやき。
巧く行けばオリンピックに知事として名を残し、ピッカピカに輝けたのに。ハシタ金で人生を棒に振ってしまった。「徳」が無いからだれも守ってくれないだと!「徳」がこれほど阿漕だとは知らなんだ。紹介してくれた石原さんが恨めしい。
「いのせ」さんのところで「・・5千億円とは言わないまでも、せめて5百億くらい・・」という中国のブログを紹介しました。白髪三千丈の国の主張だと思っていましたが、不正蓄財で無期懲役になった「はくきらい」さんは、なんとその五千億円の蓄財があったそうです。錆にしてはものすごい額です。驚いたことに彼は重慶市の共産党書記でしたが、その月給は十三万円だとのことです。因みに、わが豊橋市長の月給は百九万円です。総理大臣は二倍の二百七万円のようです。重慶市の共産党書記と言えば、豊橋市長の権限の何倍かを有しております。それだけ職務も大変です。その人の給料が十三万円というのは驚きですよ。一番偉い「しゅうきんぺい」さんの給与は「はく」さんの二倍なら二十六万円です。あなたの年金と比較していかがでしょうか。他にボーナスの類もあるかもしれませんが、億どころか千万円でも縁のない数字です。その給与であの大国を治めるなど信じられません。更には、子弟を外国に留学させ、人民服ではない服を身につけています。上層幹部の中にはアメリカで蓄妾をしている方もあるとか。中国政府を倒すには要人の米国内口座を封鎖すればいいという、噂話があります。私は年金を「はく」さんの給料より多く頂いております。それでも、孫を海外留学させることは叶いません。ましてや妾をやであります。中国の要人は、全員がなにがしかのアルバイトをやっていないと務まりません。正規雇用ではなく、非正規雇用に違いありません。「はく」さんだけが非正規とは思えないので、彼は運が悪かったのです。権力闘争に負けた人には不正蓄財という罪名をつければ、誰でも引っ掛かるのでしょう。赤信号、皆で渡って一人コケ。赤信号を渡ったのが悪いことではなく、コケたのが拙かったのです。
「はく」さんのつぶやき。
中国経済も曲がり角。「しゅう」政権も何時までもつか。「終」政権になれ。臥薪嘗胆。時至らば同じ罪状で野郎を葬ってやる。ハッキヨイ、ノコッタノコッタ。
権力闘争と言えば、隣の「ちゃんそんてく」さんもみからでた錆ゆえに粛清されました。彼の錆は女ぐせから売国まで幅広く言われています。北のこととて情報不足もあり、事情通の話も何が何やらわかりません。しかしこの噺は極めて単純だと思います。お隣と企てたクーデター未遂事件です。女ぐせ、麻薬なんぞは一般人民へのお触れとして判り易くするため取って付けた罪状です。
何故クーデターなのかです。それは「ちゃん」さんが罪状告発から処刑までが公開されたことで判りますよ。何のための公開かです。休戦相手の米韓へお知らせする必要はありません。人民になんぞは以ての外です。ましていわんや日本をやです。ではどなたに。勿論中国です。粛清などということは人様にお知らせするようなことではありません。どこの国でも特定機密です。あえて公開したのは、お前のやったことは、やろうとしたことはバレタよと国外へ伝えたかったからに違いありません。ついでに、人民に見せるなら盛大にやって、恐ろしさを植え付けなくてはなりません。どれほどひどくブン殴られるかを、腫れあがった顔や手をテレビに映し出して見せました。さすがに処刑はテレビに出しにくいので、控えておりますが、公開で行い、その様が漏れ伝えられることで恐怖心をあおるように致しました。漏れ伝えられた処刑法は凄いものです。やれ、九十丁の自動小銃で縦に撃った。あるいは、百匹の猛犬を囲いの中に放ち、噛み殺させた。ほとんど跡形もなくなった遺体を火炎放射器で焼き尽くした。なぜこれほどのことをやったのか。怒りの表現ですナ。俺は怒っているぞ。その程度はこんなものだ。唆された「ちゃん」でもこの程度だ。唆した奴が一番悪やつだ。そいつにはこれ以上の報復をしたい。お判りか。お分かり頂きたい相手は中国です。こういった手出しをするのは、韓国やアメリカの可能性もないことはないでしょう。しかし北が情報を掴んだのは中国でした。相手が韓国なら銃口をそちらに向け発砲したでしょう。アメリカなら核実験かミサイル発射をし、強烈な罵詈雑言を以ってその正当性を言い連ねたでしょう。相手が怖い中国ですから、身内の処分を以って「バレタ」ことを、失敗したことを伝えたのです。
「バレタ!」すぐに理解した中国は、「ちゃん」さんの事件は北の内政問題だと声明を出しました。都合の悪いことは知らぬ存ぜぬを決め込むのはいつものことです。しかし、口と行動は別です。直ちに国境線に軍隊を増強して、不測の事態に備えました。内政問題で隣国の人が死刑になったからとて、その国が攻めてくるという発想は、後ろめたさが無いと出来ないことです。
「ちゃん」さんのつぶやき。
顔は腫れるわ、口の中は切れるわで「ちゃん」とモノが言えません。後ほど小噺のところまでお時間をください。
少し微細な錆ですが、失業寸前になって、寂しさを覚えている人がいます。「みのもんた」さんです。
この人、誰かからお金を借りたり、不穏なことを企てたりした形跡は全くありません。ご子息が人様の財布を盗ったのに、けしからん野郎はお前だということになってしまったようです。迷惑な話です。仕事を続けるかどうかは、雇っている側と本人で決めればいいことです。もし雇い続けられ、テレビに出続けるなら、文句のある人はそれを見なければいいだけです。私はこの方のテレビをほとんど見ていないのですが、事件に関連したニュースはよく見ました。いじめの心地よさが伝わってきました。こういう映像は子供のいじめを育みますネ。そのいじめテレビを見ている私の根性もいやらしいですね。野次馬根性に支えられてのことです。
もう一人、テレビ界で干されてしまった人がいます。「ばんどうえいじ」さんです。中日ドラゴンズのピッチャーでした。何度か球場で見ております。勿論、高校野球での熱投はよく知るところです。この人の錆びはコマイですが、ご本人のやらかしたことですから、悪いとしか言いようがありません。鬘だとか植毛だとか仰っていますが、頭を使ってやったことだという洒落ですね。再就職活動をしているようですが、このくらいの洒落毛があれば、何所かで使ってくれるのではありませんか。
「みの」さん&「ばんどう」さんのつぶやき。
「モンタ」があるか! 「エイジ」ゃぁありませんか。
顕微鏡で見ないと見落としそうな錆もありました。「でさきひろし」さんです。
え?知らない?そんなことはありません。この人が、私の目から見れば、一番小さなみから出た錆びで、最も厳しい年越しを強いられた人です。
思い出して頂けましたようで。そうです。私の好きなバナメイエビの方です。いえ、いえ。私が好きなのはバナメイエビで「でさき」さんではありません。いつも、といっても時々ですが、食べている海老の名前を知ることが出来ました。そもそも彼がバナメイエビに遭遇したのは、デズニーランドの所為です。デズニーがレストランで偽装をやらかし、そんな悪いことはまさかうちではやってはいないだろうと調べたら、バナメイだったのです。経営者、最高責任者としては至極まともなことをしています。当然の社内調査をやったまでです。拙かったのは偽装というべきところを誤表示などとお役人のような言い回しをしてしまったことでした。そこを突かれて、マスコミにイジメまくられました。
その後次から次へと同一ないしはより悪質な類似事件が出てきましたが、相手が大きすぎてビビったのか、飽きてしまったのか、マスコミのイジメも手ぬるくなりました。そんな塩梅で、三番手以降は社長のクビはつながっているようです。一番手のデズニー方はほとんど報道すらされていません。「でさき」さんは出る杭扱いされました。錆びだから出る釘かなぁとも思います。気の弱い「でさき」さんは職を辞しました。失業してしまいました。経営者でしたし、辞職ですから失業保険はもらえないでしょう。年金をもらうには若すぎそうです。どうするのでしょうか。生活保護ですか。同情せざるを得ません。
「でさき」さんのつぶやき。
シマッタ!早まった!もう少し待てばお仲間が増えて、なんとか収まったじゃあないか。「でさぎ」たことをした。
さて、今年は午年。高く、勇ましく飛び跳ねるの象。さはさりながら、何人かの人が馬脚を顕してくれると思います。楽しみにしましょう。
では小噺を一つ。
天国か地獄か
処刑された張 成沢があの世へ来た。周りを見渡すと薄い霧がかかっていた。暫くすると霧が晴れ、周り一面に花が咲いていた。
張「見たことのない素晴らしい景色だ。もしかして俺は天国に来たのだろうか」花を眺めながらしばらく進んでいった。二人の男がにこやかに彼を迎えた。
成「よく来たな」
正「体も元通りで、元気そうではないか」
よくよく見ると、金日成と金正日だった。
張「これは、これは、お久しぶりで。ご無沙汰いたしておりました」
成「お前もだいぶ苦労したようだな」
張「はい、温かいお言葉、有難うございます」
正「ここに来たからには、何所の誰よりも皆が幸せにくらせるというものだ」
張「はい、いえ。こちらに見えてもそのようなお話をされているのですか?」
成「お話ではない。ここは天国だ」
張「はい、いえ。お慰めいただいてもすぐに判ることです」
成&正「・・・・・」
張「お花畑を見て、もしや天国かと思いました。でも、二人のお姿を見て、それが間違いだと気がつきました。ここが何所か。私、覚悟はできております」
(2014.1)
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